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流産の危機、妻が入院中に……夫は既婚の元カノと“親密なやりとり” この不倫、どうやってぶち壊したらいいですか【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

産休中のAさんは、妊娠初期から体調不良が続き、流産の危険もあって入退院を繰り返していました。そんな中、夫の様子に違和感を覚え、密かにスマートフォンを確認したところ、女性との親密なやり取りを発見したのです。相手は夫の元彼女で、しかも既婚者でした。

さらに相手女性の夫は、Aさんの夫の上司で、社長の身内という関係です。それだけでなく「相手は遊びのつもりだが、夫は本気のようだ」と感じるメール内容だったことから、Aさんは強い不安を感じています。

Aさんは相手に直接連絡し、夫と別れるよう伝えたいと考えていますが、それは適切な対応なのでしょうか。感情的な行動が、法的に状況を悪化させる可能性はないのでしょうか。弁護士の齊田貴士さんに聞きました。

感情的になる前に冷静になることが大切

ー不倫相手に配偶者が直接連絡するリスクはありますか?

「連絡すること自体が絶対にダメ」というわけではありません。冷静に事実を伝えたり、関係をやめるよう求めたりすることは、直ちに違法とはいえないからです。

ただし、連絡の内容や回数によって、違法になるリスクがあります。例えば、脅す、罵倒する、SNSにさらす、職場や家族に言いふらすなどの行為は脅迫や名誉毀損になる可能性があります。また、断られても繰り返し連絡し続けるのは、迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反の対象になりえる行為です。

Aさんのケースでは、勤務先や親族を巻き込む形で接触するのは、状況をより複雑にするリスクがあります。感情的な直接交渉は、自分の立場を守るためにも、避けたほうが賢明です。

ー産休・妊娠中という状況は、離婚や慰謝料交渉において考慮されますか?

産休・妊娠中という状況は、法的には「被害配偶者の脆弱性」や「不法行為の卑劣さ」として捉えられます。離婚を認めるかどうかの判断、不倫の悪質さや慰謝料の金額を決める際の重要な要素となります。

判例では、妊娠中の妻に対する暴力や不倫は、責任が重く、深刻な精神的苦痛を与える行為として認定されており、高額な慰謝料が認められる傾向があります。

Aさんのように、入退院を繰り返すほど苦しんでいたのに不倫が続いていたという事実は、交渉や調停で具体的に伝えるべき事情です。

どこまで評価されるかは、不倫の期間や頻度、どちらが積極的にアプローチしたのか、婚姻関係への影響等といった個別の事情によって変わります。不貞相手に対し、不貞行為を認めさせるには、証拠が不可欠です。具体的には、肉体関係を推認できる証拠が必要です。その他、入院記録や診断書など、体調への影響が分かる資料は、できるだけ手元に残しておきましょう。

ー証拠を確保した後、まず取るべき行動は何でしょうか?

まずは、整理して相談するのが先です。怒りや不安が強い状態では、冷静に伝えるのが難しくなります。手元にある証拠は、スクリーンショットを別のデバイスに保存するなど、消えない形で保管しましょう。

そのうえで、夫婦関係をどうしたいかを自分なりに整理して、弁護士に相談するのが安全な進め方です。相手への連絡や夫への問い詰めは、専門家と方針を決めてからでも遅くはありません。

動く順番を間違えると、せっかくの証拠が使えなくなったり、むやみに手の内をさらし、証拠隠滅の機会を与えたりするなど、交渉が不利になることがあります。感情より先に、証拠と手順を意識するのが、自分を守ることにつながります。

◆齊田 貴士(さいだ・たかし) 弁護士
神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。

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