多くの人が毎日歯磨きをしている昨今ですが、その内容は人によってそれぞれといえるでしょう。35歳女性のAさんは、毎晩欠かさず5分以上の歯磨きをする習慣がありました。歯磨き後には歯間ブラシやフロスでのケアもおこなっており「自分は歯のケアがしっかりできている」と自信を持っています。
ところが先日、歯科健診で歯医者を訪れたところ、奥歯に虫歯が見つかりました。加えて、最近冷たいものを飲むたびに歯がしみるのを相談すると、歯磨きの際に力を入れすぎていることが原因となって歯茎にダメージがあることを指摘されたのです。
Aさんは「これまで自分なりにケアしていたつもりだったのに、まさか磨き方に問題があるとは思わなかった」とショックを受けます。では、正しいケアとそうでないケアの違いはどこにあるのでしょうか。歯科衛生士のにょんさんに話を聞きました。
虫歯菌が活動しやすい口の中とは?
ー長時間の歯磨きは正しいケアといえないのでしょうか?
歯磨きは、時間をかければいいというわけではありません。
強く磨きすぎると歯茎が傷つき下がり、歯の根が露出しやすくなります。そうすると冷たいものがしみる、知覚過敏を引き起こしやすくなります。
歯磨きの時間は、5~10分程度が目安です。時間よりも力加減を意識して丁寧に磨くことが大切です。また、歯ブラシの交換時期は約1か月ですが、それより早く毛先が広がっている場合、力が強すぎる可能性があります。歯科医院で歯ブラシの当て方を確認してもらいましょう。
Aさんの場合は力加減が強すぎていましたが、歯間ブラシやフロスも使ってケアをおこなうこと自体は正しいケアといえます。
ーではAさんはなぜ毎日しっかりと歯磨きしているのに虫歯となってしまったのでしょうか?
Aさんは歯磨き自体よりも、食生活や歯並びなどに原因があったかもしれません。
虫歯を減らすには歯磨きだけでなく食生活の見直しも必要です。例えば寝る前におやつを食べながらゆっくりする時間を作っている人は、口の中に糖が残ってしまう可能性が高いです。すると、虫歯を進行させる原因となるミュータンス菌(以下 虫歯菌)が、口内に残った糖を使って酸を出します。その酸が歯を溶かした結果、虫歯となってしまうのです。
また歯並びの問題で、歯ブラシが届きにくい箇所がある人も少なくありません。そのような人は虫歯リスクが高くなってしまいます。
これらのリスクを低減させるためにも、歯に痛みや違和感が無くても3~6カ月に1度は歯科医院にてクリーニングやチェックを受けることが重要です。
ーその他にも虫歯になりやすい習慣などはありますか?
先に挙げたように寝る前におやつを食べる習慣がある人だけでなく、時間を決めずにお菓子をダラダラと食べてしまう人や運動時にスポーツドリンクを常飲する人も、糖が口内に残りやすく、虫歯の進行リスクを高くなってしまいます。
また歯は酸にも弱いので、炭酸飲料や酢など酸性食品を習慣的に摂取している人も、虫歯の進行につながりやすくなります。
それ以外では、朝だけ歯磨きをおこなう人や夜はうがいだけしかしない人は注意が必要です。虫歯リスクがもっとも高まるのは睡眠時間であり、そんな就寝前の口内に糖を残さないためにも、夜の歯磨きは確実におこないたいところです。
◆にょん 歯科衛生士
4年制大学を卒業後、関西で歯科衛生士としてクリニックに従事中。
病院歯科および一般歯科にて、幅広い症例と口腔管理業務を経験。現場で培った視点から、歯科関係者や患者さんに向けて価値ある情報をnoteで発信中。
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