去る11月17日、東京都杉並区のマンションから、インフルエンザで高熱を出していた小学1年生の男児が、自宅マンション4階のベランダから転落する事故が発生。保護者が薬を買いに出かけたタイミングでの出来事だったという。
かねてから就学以降の小児・未成年の男性を中心に報告が多い、インフルエンザ感染による脳への影響で起きる「異常行動」については、厚生労働省も「異常行動に備えた対策を徹底してください」と呼びかけている。
痛ましい事故の9日前、さまざまな分野の医師たちが発信する「3大マジやっとけ」という注意喚起のX(旧Twitter)の投稿に関連して、東京・荻窪にある、365日、毎日診療してもらえる小児科クリニック『おぎくぼ小児科』の院長、おぎくぼ小児科の院長/365日診療 (@ogikuboshonika)さんが、「インフルエンザ3大マジでやっとけ」として、こんなポストをXに投稿していた。
「異常行動」に注意
「インフルエンザ3大マジでやっとけ
① 窓の鍵をすべてかける
② 保護者と一緒に寝る
③ 戸建ての場合は1階で寝る
インフルエンザにかかったら『急に走り出す』『部屋から飛び出そうとする』などの異常行動に注意して下さい。異常行動が出現する前の準備が大事です!」
<おぎくぼ小児科の院長/365日診療さんのXの投稿より>
インフル感染による「異常行動」については過去に、インフルの治療薬として知られる「タミフル」の服用を疑う説もあった。
おぎくぼ小児科の院長先生にお話を聞いたところ、タミフルの服用で異常行動が起きるのではなく、「インフルエンザによる脳への影響」という認識でほぼ間違いなく、2025年の研究では、むしろタミフル(オセルタミビル)が異常行動を減らす、と結論づける文献も登場しているそうだ。
「ですので、今回私がXの投稿で挙げたケースは、⚫︎一部は『急性脳症』レベルの重いもの、⚫︎一部はそこまで至らない『熱せん妄・一過性の意識障害・異常言動』といったグラデーションはありますが、いずれも『インフルエンザ感染が脳・中枢神経に与える影響』として理解しています」(おぎくぼ小児科の院長/365日診療さん)
とくに注意すべき行動と、救急に連絡すべき症状
おぎくぼ小児科の院長先生によると、こうしたインフル感染による「異常行動」の中でもとくに注意すべき行動や、すぐに救急に連絡すべき症状があるという。
「厚労省のQ&Aおよびパンフレットでは、インフルエンザ罹患時に注意すべき異常行動として、例えば以下が挙げられています。
⚫︎急に走り出す
⚫︎家の外へ飛び出そうとする
⚫︎ベランダや窓から出ようとする、よじ登る
⚫︎意味不明なことを言う、支離滅裂な会話
⚫︎うろうろ歩き回る・徘徊する
また、緊急性のあるインフルエンザ脳症の『初発神経症状』としては、厚労省研究班のガイドラインで、<意識障害><けいれん><異常言動/異常行動>の3つが主なサインとして列挙されています。
こういった症状が、①連続ないし断続的に概ね1時間以上続く、②意識状態が明らかに悪いか悪化するような場合は、速やかに医療期間を受診する必要があると考えます。また上記以外でも痙攣する場合などは緊急で医療期間を受診した方が良いです」(おぎくぼ小児科の院長/365日診療さん)