「人とクマの共存」の鍵を握る「都市計画法」
寄せられたコメントにもあるように、人とクマの共存の鍵を握る「都市計画法」が制定されたのは、今から57年前の1968年(昭和43年)。
その都市計画法により、山間部から人が去り、さらに高齢化が大幅に進んだことでハンター人口も激減。
結果、「里と山の境界」が曖昧になった場所が増え、本来「山」が許容できる頭数以上にクマが増加。
ハンターに出会うことなく、人間に対する恐怖を知らないまま増えたクマたちが、木の実などよりも高カロリーで簡単に手に入るエサ(農作物や家屋の食糧)を求め、農地や市街地など人間の生活圏に侵入。
そういったことが現在の深刻な「クマ被害」の引き金になっていると、トウキョウジュウホウさんは訴える。
「都市計画法については、市街化調整区域等における建築要件の緩和が求められます。コンパクトシティを掲げているのが現在の都市計画法の傾向になりますが、それは農村部・郊外等を見捨てているようにも受け取れます。
熊の頭数調整に関しては、猟銃等講習会の試験数を増やすなど、ハンター人口の増加に繋がるような、制度及び政策の実施/施行をお願いしたいです。警察のご負担はもちろん十分に理解しておりますが、現状ではあまりに試験回数が足りていません。高齢化でリタイヤするハンター数に比べて、新たに始めるハンターの数がまったく釣り合っていないのが現状です」(株式会社 トウキョウジュウホウ / Tokyo Juho, Inc.さん)
「クマスプレー」の安全基準が曖昧…
トウキョウジュウホウさんでは、猟銃以外の積極的な熊対策である「クマ避けスプレー」も取り扱っている。
この「クマスプレー」に関しても、「クマスプレーの規格をまとめる法が日本にないため、海外では危険と考えられる<噴射距離が短い><容量が足りない><間違った濃度(低い、そもそも指標が違う)>スプレーが日本市場にたさくん出回っていることです。(そういった商品は)アメリカでは許されません(EPAヒグマ、クロクマ前提)」と、Xに投稿していたトウキョウジュウホウさん。
国による「法改正」が急務
「現在国内に流通しているクマスプレーの中には、速射性が悪い物も多くあり、そういった商品は人命を守る上で非常に危険です。日本には現在、クマスプレーの規格をまとめる法がありません。人命を守るための目安としては、噴射距離8m以上、連続噴射時間6秒以上、容量は215g以上、カプサイシン&カプシノイド他は1~2%(よく効くのは2%)。これらは最低限の基準として重要です。
アメリカ基準以上のクマスプレーであれば、データも揃っており、使用者のかなり高い生存率/怪我を避ける確率が望めます。基準を下回ると、怪我をする確率が上がります。悪用を不安視される方もおられますが、弊社では販売時、シリアル番号のログを取るといった形を自主的に導入しており、犯罪等には素早く対応できるようにしております」(トウキョウジュウホウさん)
クマの頭数や行動パターン、生息環境が大きく変化したことで、「クマは臆病。自分から人間には近づかない」といった安全神話が通用しない事故も多発している。
現代とは大きく状況が異なる昭和時代に制定されたままの「都市計画法」の見直しを始め、人命を守る手段である「クマスプレー」の安全基準や「ハンター人口増加のための対策」など、国による早急な対応が望まれる。