予防安全装備の比較
▽制御の質が向上した3代目フリードのホンダセンシング
2代目フリードでは、先進の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を採用。2019年のマイナーチェンジにより、全車に標準装備となった。
このホンダセンシングは、ミリ波レーダーと単眼カメラという2つのデバイスを使って前方の状況を認識し、ブレーキやステアリングの制御と連携することで、安心・快適な運転や事故回避を支援する先進システムだ。
パッケージされている主な機能は、衝突軽減ブレーキ(CMBS)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線維持支援システム(LKAS)、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、誤発進抑制機能、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能の8つ。2019年のマイナーチェンジでは、新たに後方誤発進抑制機能が追加され、ACCの加減速制御もよりスムーズなフィーリングへと熟成された。
3代目フリード(GT系)では、さらに進化したホンダセンシングを全グレードに標準装備。車両前後に搭載されたソナーセンサーにより、「踏み間違い衝突軽減システム」などの新たな安全機能も実現している。
2代目フリードで採用されていた機能に加え、トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、ブラインドスポットインフォメーション、近距離衝突軽減ブレーキ、急アクセル抑制機能、パーキングセンサーシステム、後方出庫サポートなど、全17機能に拡充。ドライバーの運転負担を大幅に軽減する内容となっている。
さらに、3代目フリードは車載通信モジュール「Honda CONNECT(ホンダ コネクト)」を搭載。対応ナビやオーディオをディーラーオプションで選択可能で、ボタンひとつでオペレーターに繋がる「緊急サポートセンター」や、車内Wi-Fiなどが利用できる「Honda Total Care プレミアム」の各種サービスにも対応している。
内装、室内空間の比較
▽室内空間に大差はないが、より余裕を生み出し快適性をアップした3代目フリード
2代目、3代目フリードのボディサイズは以下の通り。
【2代目フリード】
・ボディサイズ:全長4265mm×全幅1695mm×全高1710mm(4WDは1735mm)
・ホイールベース:2740mm
【3代目フリード】
・ボディサイズ:全長4310mm×全幅1695mm(一部1720mm)×全高1755mm(4WDは1780mm)
・ホイールベース:2740mm
2代目と3代目フリードのプラットフォームは基本的に共通だが、3代目では改良型プラットフォームを採用し、さらなる進化を遂げている。
2代目フリードは、多彩なバリエーションをひとつのボディ骨格と最小限の専用パーツで構成する「マルチシェル骨格」を採用。街乗りから高速クルージングまで安定した走行を実現するため、高剛性ながら軽量なボディ構造とし、高張力鋼板や超ハイテン材を積極的に取り入れている。
インテリアは、視界性の向上を目的に薄型メーターを遠方に配置。これにより、ドライバーは視線や焦点を大きく動かさずにメーターを確認できる設計となっている。
全長約4.3mの限られたサイズの中で、1〜3列目のヒップポイント間距離は初代比で90mm拡大。さらに2列目のスライド量も120mm増え、多彩なシートアレンジに対応。
6人乗り仕様のキャプテンシートでは、スライド幅の拡大に加え、体格差に配慮したシートベルトの配置が工夫されている。
3代目フリードでは、2代目で評価されたマルチシェル骨格を継承しつつ、構造の見直しによって剛性強化と軽量化を実現。走りの安定性と燃費性能の向上を両立させた。
具体的には、アウトリガーの追加やフロア補強材の大型化によって、フロントのねじり剛性を約10%、接地点横剛性を約5%引き上げた。これにより、ステアリング操作に対する応答性が向上。リア側ではピラー稜線をなめらかに繋ぐことで、ボディ上部の剛性を高め、より落ち着きのある乗り心地を実現している。
また、室内の静粛性を高めるため、「防音パッケージ」というアプローチを採用。遮音材や制振材の配置を工夫し、車両全体の静かさを確保しながら重量増を抑えている。とくに2列目では、先代を上まわる静けさを体感できるレベルだ。
インテリアはリビングルームのような快適性を意識した設計で、柔らかなファブリック素材と便利な収納スペースを多数配置。インホイールメーターを採用することでダッシュボード全体が水平でスッキリとし、車両感覚や進行方向が掴みやすい視界とした。
パワートレインの刷新に合わせ、全長の延長はわずか45mmにとどめ、取り回し性を維持。そのうえで、2列目の膝まわりは30mm、3列目の肩まわりは合計65mm(片側32.5mm)拡張し、よりゆとりある空間が生まれた。
3列目シートは、座り心地を保ちながらも薄型・軽量化を実施。はね上げ位置を低く、かつ垂直に近づけたことで、シート間のスペースを約160mm拡げ、荷室の使いやすさも向上している。
3代目フリードは、基本的に5ナンバーサイズを維持しているが、設計や構造の工夫によって、数値以上に“ゆとり”を感じられる居住性と実用性を手に入れている。