花粉や食べ物、ハウスダストなど、身近なものが原因となるアレルギー。関わる病気は多岐にわたり、症状も人によってさまざまです。どうすれば発症や悪化を予防することができるのでしょうか。
アレルギーとは?
アレルギーとは、本来であれば体に害を与えない特定の異物に対して、免疫が過度に反応する状態です。アレルギーを引き起こす主な原因には、花粉・食品・金属・薬品・昆虫毒などが挙げられます。症状はアレルギーの種類や程度によって異なりますが、重篤な場合はアナフィラキシーショックという命にかかわる状態になることもあります。
アレルギー疾患には、気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎などがあり、近年はアレルギーによって医療機関を受診する人が増加傾向にあります。さらに、子どもが成長するにつれて、さまざまなアレルギー疾患を発症する「アレルギーマーチ」への対策が課題となっています。
どんな種類・症状がある?
アレルギーによって引き起こされる病気はさまざまです。代表的な種類やそれぞれの症状について見ていきましょう。
▽気管支喘息(ぜんそく)
気管支喘息は、アレルギー反応により慢性的な炎症を起こすことで気道が狭くなる病気です。気道の炎症が続くと、気道の粘膜が過敏になり、さまざまな刺激で気道が狭くなりやすい特徴があります。
主な症状は、くり返す咳・呼吸困難・喘鳴(ぜーぜー、ヒューヒュー)・息切れです。主なアレルゲンは、ハウスダストやダニが多く、ほかにもカビ類・花粉・ゴキブリなどの昆虫・ペットの毛やフケがあります。最近は、たばこの煙や大気中に含まれるPM2.5も喘息を引き起こす原因として注目されています。
▽アレルギー性鼻炎(花粉症)
アレルギー性鼻炎は、アレルゲンとなる物質を吸い込み、鼻粘膜に免疫反応が起きた状態です。
アレルギー性鼻炎は、特定の時期だけ症状がみられる季節性と、1年を通して症状がみられる通年性に分類されます。季節性はいわゆる花粉症のことで、スギ・ヒノキ・イネ科・ブタクサなどの花粉によって発症します。通年性は、ダニやハウスダストが原因となって起こることが一般的です。
主な症状には、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・鼻や喉のかゆみがあります。
▽アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が全身にできて、良くなったり悪くなったりをくり返す病気です。アトピー性皮膚炎の患者さんでは、皮膚のバリア機能が低下して、アレルゲンや外部からの刺激に過敏になり、炎症が起きやすくなっているのです。
アレルゲンとなるものには、ダニ・ホコリ・花粉・ペットの毛など環境によるものや、化粧品・金属などの接触によるものがあります。まれに、食べ物がアレルゲンとなることがあります。
▽アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、アレルゲンとなる物質が結膜から侵入して、免疫反応が起きてしまう病気です。結膜は、まぶたの裏側と白目をおおう膜を指します。アレルギー性結膜炎もアレルギー性鼻炎のように、季節性で発症するものと、季節にかかわらず症状が出るものがあります。
主なアレルゲンは、花粉・ダニ・ハウスダストです。よくみられる症状には、目の充血、目やに・なみだ目・目のかゆみがあります。
▽食物アレルギー
食物アレルギーは、本来無害である食べ物を異物と誤って認識して、過剰な免疫反応がおこる状態です。以下のようにさまざまな症状が現れます。
・皮膚症状:じんましん・赤み・かゆみ
・消化器症状:腹痛・嘔吐・下痢
・粘膜症状:クチビルやマブタの腫れ・鼻づまり
・呼吸器症状:のどの違和感・咳
アレルゲンとなる食品は、鶏卵・牛乳・小麦が多い傾向です。ほかにも木の実類・ピーナッツ・甲殻類・魚卵・果物など多岐にわたります。乳幼児で発症した場合、原因食品で多いものは鶏卵や牛乳ですが、成長してからの発症では果物・甲殻類・小麦が多いなど、年齢によってアレルゲンとなる食品に違いがあります。
▽アナフィラキシー
アナフィラキシーは、重度のアレルギー反応で急速に進行するため、適切な処置を行わないと命が危険にさらされる可能性があります。アレルゲンに接触後、数分から数時間以内に全身性のアレルギー反応が現れ、複数の臓器に影響を及ぼします。なかでも、血圧低下や意識障害をともなう場合は「アナフィラキシーショック」と呼ばれ、最も危険な状態です。
アナフィラキシーの主な原因でもっとも多いのは食品で、ほかに昆虫や薬剤などがあります。アナフィラキシーでは、複数の症状が同時に現れるのが特徴です。アナフィラキシーでみられる症状には以下のものがあります。
・皮膚症状:じんましん・かゆみ・赤み
・粘膜症状:目の充血・マブタやクチビルの腫れ・舌の違和感
・呼吸器症状:くしゃみ・咳・鼻水・呼吸困難
・消化器症状:嘔吐・下痢・血便
・神経症状:頭痛・意識混濁・気力低下