先端に車輪を搭載した傘がSNSで注目を集めている。
一見すると子供用のシンプルな黄色い傘だが、先端に小さな車輪が。雨が降っていない時の傘は邪魔な存在だ。引きずってしまい壊す、置き忘れる、など更なるストレスや持ち方によっては思わぬトラブルにつながるケースも。これらを解決するため誕生したのが、傘を畳んでいる時も楽しく持ち運べる「カサドライブ」だ。制作したミヤタリョウヘイさん(@gainenM)に話を聞いた。
――アイデアはどこから。
ミヤタ:雨が止んだ途端、傘は便利な道具からただの邪魔な荷物に変わってしまいます。そんなプチストレスを、少しでも楽しく解決できないかと考え、先端に車輪をつけてみました。着想のひとつはショッピングカートを押したがる子どもの心理。僕自身、大人になった今でもキャスター付きの椅子や台車を転がす“コロコロ感”が好きで、「人間は本能的に、車輪を転がす快感を求めている生き物なのでは?」と思ったんです。使っていない時の傘は荷物になるという気づきと、転がすのが楽しいという感覚。このふたつを掛け合わせることで、雨上がりの傘の扱いが、ちょっとした喜びに変わるのではないかと考えました。
――設計でこだわったポイントは?
ミヤタ:デザイン面で意識したのは、玩具っぽくしすぎないことです。 あまりにもカッコいい見た目にしてしまうと、子どもたちのテンションが上がりすぎていろんな場所を爆走してしまう懸念があったため、あえてシンプルなビジュアルに仕上げました。転がすのが楽しいという遊び心と、日常に自然になじむ実用性。そのバランスを大切にしました。
――モデルの少年の反応は?
ミヤタ:ワクワクしたまなざしで傘を触ってもらえて、とてもうれしかったです。少年だけでなく周囲の大人たちにも車輪付き傘の試作品を転がしてもらったのですが、みなさん自然と笑顔になっていたので、「やっぱり車輪の快感は人類共通なんだな」と微笑ましくなりました。
――今後の展開の予定を。
ミヤタ:今回の傘は使っていないときのストレスにフォーカスしましたが、 いつか本当に、傘という概念そのものを再発明した“傘2.0”のようなものを作ってみたいと思っています。 傘の本質は雨に濡れない手段だということを考えると、 タクシーや天気予報アプリ、フードデリバリーやビデオ会議ツールなども、 “傘の形をしていない傘”として捉えることができると思うんです。 そういった全く新しい形の傘にも興味があります。
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SNSでは「車輪に距離計を付ければ伊能忠敬ごっこができる」「これならマンホールの穴に突っ込んで遊ばない」「子どもの頃に欲しかった」など意見が集まった。邪魔な傘問題、更なる進化を期待したい。
ミヤタリョウヘイさん関連情報
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