ビビりでいつも隠れていたね そんな子猫が心を開いてくれた日 今では金継ぎアクセサリー体験教室の人気キャラに

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

京都市左京区にある金継ぎアクセサリー体験教室「京月夜(きょうげつや)」。金継ぎとは割れたり欠けたりした陶磁器を修繕する技法のこと。同教室は伝統的な技法に現代的な工夫を加えてコストを抑え、スピーディに仕上げることができる工法で器を修復。割れた破片を用いたアクセサリー製作も行っている。

体験教室では、代表の溝脇大夢さん(28)の飼い猫で黒猫の「夜ちゃん」(メス、3歳)、三毛の「月ちゃん」(メス、1歳)の2匹が作業を見守ってくれることもあり、国内だけでなく海外からの観光客の間でも「猫がいる金継ぎアクセサリー体験教室」と人気上昇中だ。今では甘えん坊の夜ちゃんだが、当初はビビりで人になつかなかったそう。どんなふうに心を通わせたのか。溝脇さんに出会いや経緯などを聞いた。

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溝脇さん いつかは猫を飼いたいと思っていたところ、保護猫活動をしている知人から「最近、保護した子猫がいる」と写真を見せられたのが、夜ちゃんとの出会いでした。生後9ヶ月で黒毛と白毛が美しく、写真を見て一目惚れしてしまったんです。会う前から、この子が教室で看板猫としてお客さんを笑顔にしているイメージがわいてしまって。それで知人のもとへ会いにいきました。

知人宅にはたくさんの保護猫がいて、夜ちゃんは部屋の隅に置かれたケージの奥にいました。ビビりで人が来たら「逃げなきゃ」と思い込んでいるようで、怯えているように見えました。知人は人慣れしないので譲渡は諦めようかとも思っていたそうです。

それまで、教室の看板猫としてお客さんから愛されて…などと妄想をしていた私でしたが、すぐに考えを変えました。そんなことはもういい。たとえ人になつかなくても、うちでゆっくり自由気ままに暮らしてくれたらそれでいいと。

 

トライアルでうちに連れ帰ると、夜ちゃんはビクビクしてしばらくケージの奥にいました。ケージの外に出てもソファーの下でじっとして動かない、誰かがいるときはご飯も食べない、私が寝ているときにこっそりトイレに行く、といった感じでした。 

本当はもっと話しかけたいし、なでたいし、一緒に遊びたい。だけど、見ない、触らない、驚かせないを徹底することにしました。たまにそろっと人前に出てくる時があったんですが、こちらが夜ちゃんに関心を示すとすぐ引っ込んでしまいます。なので、この家の空間や人が怖くないと思ってもらうために、ビニールの擦れる音さえ、夜ちゃんのそばではさせないように気をつけていました。

 

無関心を装い、ご飯とトイレの世話を黙々とするだけ。我慢、我慢の日々でしたが、1ヶ月ほどが経ったころ、ソファの隅っこにいたのが少しずつ私に近づいてくるようになったんです。その距離が日に日に縮まり、ついには私が寝ている布団のそばまで自分からやってくるように。それで、なでられるようになると、そこからは早かったです。元来甘えん坊なんですよ。それを完全解放したという感じで(笑)。おそらく夜ちゃんも私のことが気になっていたけど、何もしてこないなって思ってたんでしょう。私なりのアプローチが功を奏して、それからは教室のお客さんの前にも出てきてくれるようになりました。

一方、三毛の月ちゃんがうちに来たのは、それから約1年後。夜ちゃんが甘えん坊になり、私が外出時は寂しいのではと思い、もし気の合う子がいれば、と思っていたときに、別の知人からこんな連絡を受けたんです。「家の隙間に子猫が5匹いて、2匹はすでに亡くなっていたが、3匹はなんとかレスキューしたので飼い主を探している」と。

 

2匹はすぐに飼い主が見つかり、残る1匹を私が引き取りました。それが月ちゃんです。生後まだ2、3週間くらいで何も食べておらず、すぐ動物病院に連れていき、ミルクを飲ませるなどして育てました。月ちゃんは夜ちゃんとは性格が正反対。好奇心旺盛で、誰にでも人なつこい子です。幸い夜ちゃんとも相性がよく、今は仲良く一緒に寝ています。

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