ふぐの本場である山口県下関地方では「ふぐ」のことを福を招くようにと「ふく」と呼ぶ。このおめでたい駅弁「ふく寿司」に私が最初に出合ったのは30年ほど前だったか。以前は下関駅で夜行列車が関門トンネルに入る前に機関車の交換が行われていた。その作業時間が10分程度あり、早朝にもかかわらずこの駅弁をホームで販売するという車内アナウンスに促されて買ったのが最初。パッケージを見ると正面を向いた愛らしいフグのイラストは真ん丸の目に歯が大八車の車輪のようで強烈なインパクトあり。それが変わらず現在も踏襲されている。時間が過ぎて東京から九州への直通ブルートレインが廃止になって、製造者が下関駅弁当から小郡駅弁当になり、さらに現在の広島駅弁当へと東に移った。業者が2回代わってもなお販売が続く名物駅弁を久しぶりに味わってみた。
ふたを取るとフグの皮であるてっぴのポン酢しょうゆ漬けと、くらげウニあえがそれぞれおかずカップに入って独立しているのが目に付く。
ご飯はレンコンなどの具入り寿司飯で、その上に錦糸卵がちらしてある。おかずはフグの唐揚げが3つも入っている。中央のイクラ、エビが赤、茎ワカメが緑を演出。他に椎茸煮、しょうが酢漬けなどが載る。
ウニは濃厚でご飯が進み、フグの唐揚げは硬めで食べ応えがある。てっぴは弾力がしっかりあって中では私好みで一番うれしい一品だ。
ご飯を食べ進めると淡い赤みでデンプも確認できた。
高級魚として取り扱われるフグをメインにした駅弁は全国にそれほどないと思うので、ぜひ味わってもらいたい。
1300円(税込み)。山陽本線・広島駅「広島駅弁当㈱」☎0822860181