「困ったときはお互い様」の言葉が気持ちよく交わせるような頼りになるお隣さん…って憧れますよね。特に子育て世帯にとって、隣人の理解やサポートは心強いもの。しかし、第一印象が良かった隣人が、実は思いもよらない問題を抱えていたとしたら…ショックはとてつもなく大きいかもしれません。
マンションの隣人に挨拶したら、優しそうなひとり暮らしのおばあちゃん
Aさん(関西在住・20代・主婦)夫婦は、二人目の子どもが生まれたのをきっかけに、それまで暮らしていた賃貸コーポから、古いものの造りがしっかりしたマンションの1階に引っ越しました。
ベランダから直接出られる広い庭付きの1階で、まだ乳児の下の子をのびのびと遊ばせてあげられそうでした。ベランダ向きの掃き出し窓は二重サッシになっていて、防音対策にもなりそうでした。玄関も広くベビーカーを畳まずに置けるなど、まさに子育てに理想的な物件でした。
1フロア3戸のいちばん奥の部屋だったため、隣のお部屋に挨拶をすることにしたAさん。ご挨拶の品をもってチャイムを鳴らすと、出迎えてくれたのは小柄で優しそうなおばあさん。3歳と1歳の子どもたちを見て目を細め、「可愛らしいお隣さんが来てくれてうれしいわ!」とにこやかに歓迎してくれました。
ロビーで子どもがぐずったときも、「子どもは泣くのが仕事!気にしないで!」と優しく声をかけてくれたり、「足音は気になりませんか?」と尋ねると、「ここは壁が厚いし、本棚もあるから全然響かないわ!」と気遣ってくれたり。Aさん夫婦は「本当に良い人がお隣でよかった」と安心していました。
しかし、半年ほど経ったころ、衝撃の出来事が起こります。
すっかり心を許したタイミングで…
「絵本を読んだり、昔の遊びをしたりする子育てボランティア会があるの。私も時々参加しているのよ。っとお友達もできると思うし、よかったら」
ある日、お隣のおばあさんが訪ねてきて、子どものイラストが描かれたチラシを渡してきました。
いつもやさしいお隣さんをすっかり信頼していたAさん。「そろそろ幼稚園の情報収集もしたい!同年代のママ友をつくるチャンス!」と思い、深く考えずに参加を決めました。場所は一駅先にある公民館の一室。何の疑問も抱かず、当日を迎えました。
ところが、受付で「お子さんはこちらにお預かりします。お母さんは講演会へどうぞ」と言われ、違和感を覚えます。
「えっ? 何の講演会なんですか? 絵本の読み聞かせがあるって聞いたんですけど」
「もちろんお子さんたちはそのプログラムですよ。でもお母さんには、今日はとても徳の高い先生のお話を聞いていただけます」
「徳……? あの、先生って何ですか?」
「私たちを導いて下さる方ですよ。正しい子育てと家庭の道を教えてくださいます」
…その瞬間、Aさんは「これは宗教の勧誘だ!!」と気づきました。
慌てて「すみません、今朝子どもが風邪気味でぐずっていたので、預けるのは心配なので今日はやめておきます!」と言って、参加せずに帰宅。なんとかその場を切り抜けました。
しかし翌日、お隣さんからの手紙がポストに。
「昨日はお子さんの体調が悪かったみたいなのに、足を運ばせちゃってごめんなさいね。良かったら当日のお話を個別にお伝えできますからね」
Aさんは心底うんざりしました。
「こんなお隣さんだと分かって、正直引っ越しも考えたいです。でも、マンションの1階で庭付きで、こんなに条件のいい物件をまた見つけられるか分からない。だけどこのまま、のらりくらりと宗教のお誘いを断り続けることもストレスです。本人はいい人に見えるから、あまりキツイことも言いにくいし。偏見はなかったつもりですけど、正直、新興宗教が全部嫌いになりそうです!」
もし勧誘を断って、嫌がらせをされたらどうしよう…。はたして「のらりくらり」だけでトラブルなく逃げ切れるのか。Aさんは今も、どう対応すべきか悩んでいるそうです。