今から4年前、小さなハチワレの子猫「こたろう」さんは、へその緒がついたままひとりで取り残されていました。
保護したのは、飼い主のX(ツイッター)ユーザー・こたろうさんの子分さん(@kotaro_myboss)。重いどうぶつアレルギーをもっている飼い主さんは、どうぶつ好きだったものの一緒に暮らすことをあきらめ、テレビのどうぶつ番組などを見て我慢していたといいます。
ふたりは、運命的な出会いを果たしました。
突然、聞こえてきた子猫の鳴き声
2020年9月4日の早朝、自宅にいた飼い主さんは家の裏から子猫の鳴き声がすることに気づきました。
「最初は、『きっと母猫がお世話をしているのだろう』と思っていました。ところが1時間以上経ってもその声は止まず、だんだん心配になってきたのです。しばらくして、雨が降ってきたため、急いで様子を見に外へ。すると、へその緒がついたままの子猫を見つけたのです。その小ささに衝撃を受けました」
母猫が現れる気配はなく、これ以上、放置すると命を落としてしまうだろうと考えた飼い主さんは、子猫を保護。すぐに動物病院へ連れて行きました。
「子猫は、生後2日から3日だということがわかりました。先生から『お引き取りになりますか? 里親を探しますか?』と聞かれたとき、間髪入れずに『うちで育てます!』と答えたのです」
こうして、こたろうさんは飼い主さん家族の一員に。飼い主さんは、この日をこたろうくんの誕生日とすることを決めて、ともに歩み始めたのです。
初めての“子育て”への戸惑いと喜び
生後まもないこたろうさんを育てることになった飼い主さんは、情報収集をしながら日々のお世話に励みました。
「最初は、パニックになるほど大変でした。『けがをさせちゃいけない』『病気にさせちゃいけない』という思いから、猫にとって危険な物や病気のシグナルはどのようなものかなど、まるで試験勉強のように調べながらお世話をしたのです。母猫を探して『ミーミー』と鳴く姿を見ると、『絶対にこの子を守らなければ』と思い、毎日、必死でした」
とくに大変だったのは、食事のお世話だったといいます。
「2時間おきに、ミルクを与えるときは緊張しました。誤嚥させないよう冷や汗をかきながら与えたのを覚えています。初めに用意したミルクは飲んでくれず、いくつか試してようやく気に入ったものを見つけたときは、ホッとして涙が出ました」
こたろうくんをかわいいと思う一方、「無事に成長してくれるだろうか」という不安も同じくらいあったという飼い主さん。日増しに、こたろうくんはかけがえのない存在になったといいます。
「夜、寝息を聞いたり、おなかに顔を埋めて、トクトクと鳴る心臓の鼓動を聞いたりするとき、何とも言えない幸せを感じました。こたろうさんの成長、そして温もりを感じる瞬間が私の喜びになったのです」
また、飼い主さんにとって不思議な出来事もあったといいます。
「お迎え後、心配していたどうぶつアレルギーは発症しませんでした。アレルギーそのものが軽症になったのか、またはこたろうさんに対してだけ発症しないのかはわかりません。『やっぱりこの出会いは運命だ!』と感じて喜んでいます」
こたろうさんは、飼い主さんに見守られながらすくすくと成長していきました。
今、飼い主さんがこたろうくんに思うこと
こたろうさんは、現在4歳を迎えました。
性格は、甘えん坊でビビり。賢くやんちゃなところもあるそうです。
「玄関のチャイムが鳴ると、キャットタワーのてっぺんまで駆け上がったり、人のいない部屋に駆け込んだりして逃げてしまいます。一度、エアコンを取り付ける業者さんが来たとき、私が目を離したすきに、こたろうさんが業者さんと対面してしまったことがありました。まったく動かないので『あれ? 意外と肝がすわっているな』と思いつつ抱き上げるとカチカチに固まっていました(笑)」
そのまま、こたろうさんを別室に連れて行った飼い主さん。すると、こたろうさんはすぐに動き始めたといいます。「本当に怖がりなんだなと思いました」と、飼い主さんは当時の様子について教えてくれました。
一方、こたろうさんは飼い主さん家族の前では甘えん坊に。お利口さんな一面も見せてくれるといいます。
「部屋に誰もいないと『こっちに来て』とアピールします。気づくとそばにいることが多く、目が届かないところにいることはほとんどありません。『ダメ』と教えたことは2度としませんし、留守番中もいたずらはしません。親バカですが、本当に賢い子だと思います」
家の中を元気に走り回り、「遊ぼうよ!」と突進してアピールすることもあるこたろうさん。飼い主さんのことを心から信頼している様子が伝わってきます。飼い主さんもまた、そんなこたろうさんのことが愛おしくてたまらないようです。
飼い主さんはこたろうさんへの思いを次のように語ってくれました。
「こたろうさんには、『うちに来てくれて、立派に成長してくれてありがとう』と伝えたいです。返しきれないほどの幸せをもらっています。一生かけて、その幸せをお返ししていきたい。そして、こたろうさんがこれからも健康でのびのびと過ごせるように見守りながら、『ここにいると安全だし楽しい』と思ってもらえたら、それ以上望むことはありません」