創業明治27年の老舗料亭である坂本屋謹製。掛け紙には透かしのように明治初期に人々が集う様子が描かれている。裏面に「角煮めしは板場の賄い料理から生まれた」と説明書きがあり、長崎名物卓袱(しっぽく)料理のメインディッシュだとも表記されている。炊き込みご飯は長崎県産のうるち米と佐賀県産のもち米にゴボウ、椎茸、ニンジンを郷土料理の東坡煮(とうばに)の煮汁で炊き上げ、その上に甘辛い豚の角煮がサイコロのようにゴロゴロと入っている。シンプルに仕上がったこの地方の名物を味わってみた。
角煮はトロトロでほろりととろけるおいしさ。大きさ約1×2センチで、ご飯と一緒に食べるには、ちょうどよい大きさだ。それが二十数個も見え隠れしていてうれしくなる。角煮から染み出ただしと、炊き込みご飯の味がちょうどいいあんばいで口の中で混ざり、錦糸卵が敷いてあることによって、ご飯とくっつかず角煮だけの味も楽しむことが出来る。
食べ進むと真ん中にはノリが敷き詰められているのを感じることが出来て、風味が変わって飽きの来ない弁当に仕上がっているのが分かる。
4分の1スペースの副菜は両サイドに大根醤油漬けとショウガ酢漬け。中央のデザートはマンゴー寒天となっている。ご飯モチモチ、デザート爽やかで、最後まで九州感が前面に出た駅弁。100グラム当たりの食塩相当量は0.76グラムとヘルシーだ。
980円。長崎本線・長崎駅「㈱坂本屋」☎0120268210