大阪のビジネス街、北浜に超人気の穴子専門店がある。昨秋に発行されたミシュランガイドにも掲載されている「北浜あなごや」だ。“伝助”と呼ばれる700グラム~1キロの天然穴子を使っており、季節ごとにメニューを替え、旬な日本酒も豊富だ。狙い目はランチ。きっと穴子料理のイメージが変わる。
ミシュランにも掲載
運が悪いと満席で入店できないかもしれない。ビジネス街でそれほどの人気を誇っている。6年前にオープン。当時、穴子専門店は珍しく、なじみがなかったが、少しずつ浸透し、2019年版ミシュランガイドのピブグルマン部門に掲載されるまでに至った。大将の山口康一さん(53)が言う。
「20歳から板前修業をして、大阪市内の和食店で料理長に。いつか独立したら穴子専門店を出したいと思ってました。だって、穴子はおいしいですから。北浜に店を出したのは品があって、粋な街だからです。穴子のお造り、ぜひ食べてみてください。穴子のコース料理もそうそうないと思いますよ」
おいしさの秘訣は大将の腕はもちろんのこと、そのネタにある。使っているのは“伝助”と呼ばれる天然穴子。うま味成分をたっぷり含んだ長崎・対馬産、もしくは四国・徳島産の極上ものを提供しているからだ。聞けば、穴子の好物はイカらしく、おいしいイカを5、6年かけ、ガバッと食べて成長しているのだから、かめばかむほどおいしいのも納得だ。
「これ以上大きいと骨がじゃまになるし、小さいと造りにできない。伝助ぐらいがちょうど、身が柔らかくて口当たりもいいんですよ。うちでは素材の良さを生かし、できるだけシンプルな調理法で穴子のおいしさを楽しんでいただけるように心掛けています」
夜の三大名物は「炙り刺し」「穴子石焼き」「しゃぶ鍋」の3品。この炙り刺しに「薄造り」「酒盗和え」「ちり梅肉」「昆布締め」「あん肝」を加えた「穴子刺し六彩盛り」も人気の定番メニューだ。炙り刺しはコリコリした食感がたまらない。薄造りは見た目といい、味といい、ほぼ“てっさ”。なかでも個人的に気に入ったのが「穴子白焼き」でわさび、塩をつけていただいたが、自家製のりをつけると例えようがないほど絶品だった。