全国の温泉地をモチーフにしたキャラクター「温泉むすめ」のグッズ展開が、大津市のおごと温泉で始まった。おごと温泉観光公園(同市雄琴一丁目)にはキャラの等身大パネルが「顕現」し、早速大勢のファンが訪れている。
温泉むすめは、キャラや声優を活用して温泉地を活性化しようと、企画制作会社「エンバウンド」(東京)が2017年から取り組んでいる。全国に120以上のキャラを創作し、各地で声優を招いたイベントを開くなどしている。
おごと温泉のキャラ「おごと寧々[ねね]」は、「お琴の演奏が得意な、おしとやかで上品なお姉さんで、好物は近江牛とふなずし」という設定。人気声優の野中ここなさんが声を演じ、同公園の等身大パネルには野中さんのサインとメッセージが記されている。
おごと温泉観光協会の営業企画担当、針谷亮佑さん(36)によると、近年は全国で温泉むすめを活用した誘客に取り組む温泉地が増え、パネルやグッズの取り扱いがないのは滋賀など数県を残すのみだったという。2023年、東京都内で開かれたイベントでファンらの盛り上がりを目の当たりにし、おごと温泉でも展開することを決めた。
初日の2024年11月23日には全国から約130人のファンが訪れ、初回入荷分の缶バッジ200個は昼過ぎに完売。日帰り入浴券などが当たる「おごとんガチャ」の参加者にプレゼントするステッカーも、25日に初回分の配布を終了した。訪れた人の中には、オリジナルの色紙を描いて持参し、寄贈してくれたファンもいるという。
今後は施設ごとに独自の絵柄のグッズも制作したいといい、すでに複数の会員旅館などが前向きな関心を示している。将来的には声優を招いたイベントの開催も目指しており、同協会では温泉むすめを通じて、若い世代への知名度向上や閑散期を含めた来訪者数の底上げ、他の温泉地との連携などに期待している。
エンバウンドによると、2025年2月には、都内で開かれる全国の宿泊業関係者が集まる催し「宿フェス」で行われる温泉むすめのイベントステージに野中さんが出演。玉名満美[まみ](熊本県・玉名温泉)役の青木陽菜さん、福地珊瑚[さんご](岐阜県・福地温泉)役の反田葉月さんとともに、各温泉地の魅力をPRするという。
観光公園を訪れた滋賀県内の大学院に通う男性(25)=大阪府=は野中さんのファンといい、「おごと温泉の名前は知っていたが、訪れるのは初めて。滋賀に(野中さんのキャラが)来てくれてうれしい。東京だけでなく、ここでイベントをしてもらえたら」と今後の企画を楽しみにしていた。
針谷さんは「ありがたいことにグッズがすぐに完売してしまい、来ていただく方には申し訳ない。単発で終わることなく、しっかり展開し、長く育てていきたい」と話している。