岸和田だんじり祭で有名な大阪府岸和田市にある「南海浪切ホール」(以下、浪切ホール)のエントランスに、長さ80メートル超もある巨大蛇が現れた。これは「立体紙切り」という技法で制作されたアート作品で、作者は立体紙切り師として活動する辻笙(つじ・しょう)さんだ。ご本人にお話を伺った。
材料は長さ10mのロール紙を17本
浪切ホールは大小のホール、研修室、会議室などを備え、伝統芸能から演劇、コンサート、ミュージカルなど幅広いニーズに応えられる施設。エントランス正面のガラス扉を入ると、頭上に空中を舞う巨大な蛇の姿がある。
「立体紙切り」とは、生物の形を紙から切り出した後、さらに折り曲げて立体的な造形に仕上げるアート作品のこと。辻さんにとって大型作品の制作は初めてではないが、ここまで大きな作品を手がけたのは経験がないという。
昨年夏ごろから構想を練り始めて、制作を開始したのが12月19日。長さ10メートルあるロール状の画用紙を17本使い、体のパーツごとに制作していった。
蛇なので全身をウロコが覆っているが、この巨大蛇はウロコがカラフルに彩られている。これは公募で集められた小学生以下の子供たちと親御さん約100人にワークショップとして参加してもらい、アクリル絵の具で思い思いにペイントしてもらったもの。ウロコは全部で4480枚もあるという。
こうして出来上がったパーツをいったん順序よく並べて配置を確認し、12月29日に吊り下げ作業が行われた。
初めは蛇のサイズを35メートルで計画していたそうだが、出来上がってみたら実に80メートルを超える大作になっていた。
これほどの大きさで、しかも紙でできた作品をどうやって吊り上げたのか。
「初めにバラバラのパーツを吊ってから、形を微調整しながら繋ぎ合わせました」
吊り下げ作業には7時間を要したという。
来年は9頭の馬を走らせたい
辻さんは浪切ホールのアンバサダーを務めており、その縁で昨年は辰年にちなんで龍の立体紙切りを制作。長さ35メートルの龍を2体つくり、両側から向かい合わせる格好で展示した。
2年続けて作品を展示したことで、早くも来年の作品を期待されている。辻さんの頭には、すでに構想が浮かんでいるという。
「来年は午(うま)年ですから、9頭の馬を走らせるイメージを考えています」
なぜ9頭なのか。それは「うま」と「く」で「何事も“うまく”いくように」という願いを込めた語呂合わせだ。
子供たちにペイントしてもらうワークショップが好評だったので、次回もやりたいとのこと。しかも今度はロール紙にペイントしてもらってから、それを馬の形に切り出していくことを考えているという。
年明け早々から早くも来年の作品に構想を膨らませる辻さん。どうか「うまく」成就するよう巨大蛇に願をかけた。
ちなみにこの巨大蛇は、今年12月まで浪切ホールのエントランスに展示される。
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南海浪切ホール