夏の日の夕方、エゾジカのツノに生えた産毛が背後の夕陽の光をうけて、美しい輪郭を浮かび上がらせた姿を写した写真が「X」で大きく注目を集めました。
「あまり知られていませんが、夏のエゾシカのツノは光ります。
夏のツノには産毛が生えており、バックライトが当たると輪郭が浮かび上がるのです」
こんな文言と共に写真を投稿したのは「Kohei NAGIRA | 柳楽(なぎら) 航平」(@nagi0467)さんのアカウントです。
撮影した柳楽 航平さんは島根県出身の30歳で、2017年の大学卒業と同時に北海道の高校に教員として採用されて移住しました。現在は、出勤前の早朝や休日に当地で暮らす野生動物の写真を撮影、SNSなどに投稿中です。これまでも何度もフォトコンテストに入賞経験のある実力派で、北の大地で力強く生きる野生動物の姿をとらえた写真に多くの人が魅了されています。
「この産毛光、たまりません」
「神様みたい」
「全く知らなかったです。 教えて下さってありがとうございました」
美しい姿に魅了された人たちから賛辞や感謝の声が届いています。撮影時のことを柳楽さんにお聞きしました。
「ずっと撮りたいと思っていた光景」
――撮影時のことを教えてください。
2022年8月17日 水曜日、時間は 17時47分で場所は釧路市です。夏のエゾシカのツノには産毛が生えていると聞いた時から、バックライトになる太陽を使ってこのような写真を撮りたいと思っていました。
――願いが叶ったのですね。
ずっと撮りたいと思っていた光景を残すことができて嬉しいです。神の使いのような姿を残せました。エゾシカの魅力を多くの人に伝えられる1枚になったと思います。
――よろしければ機材や撮影方法を教えてください
機材はソニーのデジタル一眼レフカメラ「α7 IV」」と「FE 200-600mm」のレンズを使っています。シャッタースピードをかなり早めて感度を下げ、暗めに撮影することで輪郭を浮かび上がらせました。逆光で被写体は8mほど先におり、望遠レンズで撮影しました。
――シャッターを押した時の手ごたえは?
何度も同じようなシチュエーションで撮影していましたが、ここまでツノが目立つように撮影できたことはなかったので達成感がありました。
実りの秋に撮りたいものは…
「現在は釧路市在住で、道東地域で撮影しています」という柳楽さん。今回は夏の写真が話題になりましたが、秋になったら何が撮りたいですか?とお聞きすると柳楽さんは「実りの秋が近付くと動物たちの体躯も立派なものになり、木々も色付きますので非常に撮り甲斐があります。夏のエゾシカのツノの皮は秋頃に破れ、中から白いツノが現れます。紅葉の中に居る、ツノの皮の破れたエゾシカを撮影したいです」と話しています。
【柳楽 航平さん情報まとめ】
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