大阪人の“もったいない精神”が生み出した「冷凍鍋焼うどん」 売上100倍に導いた、奇跡の「キャッチコピー」とは?

クラブTVO編集部 クラブTVO編集部

温めるだけで美味しい熱々うどんの出来上がり!時短料理でお馴染みの「冷凍鍋焼うどん」を生み出した「株式会社キンレイ」。世代を超えて愛されるベストセラーは大阪人ならではの”もったいない精神”がきっかけ!さらに「〇〇が無い鍋焼うどん」はキャッチコピーを変えただけで売上100倍に!?その誕生ヒストリーと“マル秘戦略”に迫ります。

1日約8万食が製造されているという「冷凍鍋焼うどん」は大阪生まれ。今回は岸和田市にあるキンレイ 大阪工場を取材し、その禁断の製造工程の一部を公開!すべて手作業で行われている、”あの工程”にも注目です。

前進はガスを扱う会社

キンレイの前身はガスを扱う会社でした。1970年代初頭、輸入した液体ガスを気体に変化させる工程で発生する、-162度という冷たさを持つ気化熱に「何もせえへんのもったいなくないか?」ということで、目を付けたのが「冷凍食品」だったそうです。1970年代は冷凍冷蔵庫が一般家庭にも普及し、それとともに冷凍食品も家庭に浸透し始めていた頃でした。

初めはハンバーグやグラタンなどの洋食や八宝菜などの中華のメニューを冷凍食品にし、各家庭に宅配販売していましたが、ある時宅配先の主婦から「和食も欲しい」との声が。和食は家庭で作り慣れていて必要ないだろうということで、メニューとして取り扱いがありませんでした。

そこで考え出されたのが、寒くなる時期に美味しくて要望が一番多かった鍋料理です。さらに、冷凍食品先進国・アメリカで容器として使われていたアルミを採用し、直接火にかけることができる「冷凍の鍋」が完成しました。

「麺が伸びる」問題…“もったいない精神”で奇跡の解決!

楽ちんですぐに作れて大好評となった「冷凍の鍋」。それに続く商品を企画する中、関西がうどん文化であることに着目。当時の冷凍うどんはスープの粉末を作ったり具材を用意したりと手間がかかっていたため、温めるだけで食べられる「冷凍鍋焼きうどん」を開発することになりました。

さっそく試作してみたとろ...味はいいけれど肝心の麺がフニャフニャに伸びてしまう問題が発生。麺にコシを残すため小麦粉の配合を変えたり、麺の太さを変えたり、試行錯誤を重ねたものの、 どうしても麺の伸びを解決するに至りません。

しかし、またもや大阪人の”もったいない精神”が奇跡を起こしました!

その奇跡が起こったのは、ある日の昼食。「もったいないから」と冷凍保存していた、実験で余ったうどんを食べることに。麺だけでは食べられないので「つゆ」と「具材」の開発部門担当者にも余りがないかと確認したところ、なんとどちらも同じ理由で冷凍保存していたそうです。

こうして”もったいない精神”が集結したまかないうどんが完成します。作って食べてみると、あら不思議、全く麺が伸びていなかったのです!

調理方法は、それぞれ別々に凍っていたつゆ・うどん・具材を重ねて温めただけ。 それまでは鍋焼きうどんを全て完成させてから冷凍していたので、 冷凍する時と解凍する時に麺がスープを吸うということが起こっていました。 しかし、バラバラに凍らせることで麺がスープに浸かる時間が少なくなり、麺にコシを残すことができたのです。

そして、1975年に冷凍鍋焼きうどんの販売を開始。それまでは宅配販売していた商品をコンビニでの販売に変更したことで、便利さと手軽さを求める客層とマッチして売り上げが拡大し、その地位を確立させました。

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