車の燃費が以前と比べて悪くなったと感じても、その原因が何なのかは簡単には分からないものです。燃費悪化の原因には未然に防げるものや、使用環境による変化であることも少なくありません。現役の整備士が燃費の悪くなる原因や、対処法について解説していきます。
車の燃費が悪くなる原因
まず車の燃費が悪くなる原因として、車の消耗品を中心とした経年劣化や、部品の故障といった以下のようなものがあげられます。
【燃費が悪くなる主な原因】
・スパークプラグの劣化
・エアエレメントの汚れ蓄積
・燃料漏れ
・制御システムのセンサー不良
・ブレーキの引きずり
・エンジン警告灯の点灯
・エンジンの寿命
・バッテリーの劣化(アイドリングストップ付き車)
スパークプラグやエアエレメントの極端な劣化は、エンジンにとって必要な「良い空気」と「良い点火」ができなくなる原因になります。その結果、エンジンのパワーダウンにつながって燃費の悪化に至ります。
燃料漏れは、古い車であれば注意が必要です。危険も伴うので、臭いでおかしいと感じたときには早急な修理が必要です。
ブレーキの引きずりが発生すると、正常時よりアクセルを踏み込まないと加速しないので、その分燃費が悪化します。ブレーキ関連に違和感を感じた場合にも早急な修理が必要です。
センサー不良やエンジン警告灯の点灯によって、エンジンが本来の緻密で正確な制御を行えていない可能性があります。その結果、燃費が悪くなるケースもあります。このとき、不具合を体感できない場合とエンジン不調が発生して不具合として体感できることがあります。
また、アイドリングストップ付き車はバッテリーが弱くなると、アイドリングストップ頻度が低下するので、状況によっては燃費の悪くなる原因になります。
経年劣化ではないのに車の燃費が悪い場合
一方で、経年劣化に関係なく燃費が悪くなる原因も多いので、しっかりと把握しておくことが大切です。
▽使用環境の変化による燃費の悪化
日常の使用環境の変化によって燃費は大きく変わります。同じ道を同じ車で走っていても、運転の仕方で数km/Lの燃費の違いがあることを理解しておくことが大切です。以下、使用環境要因の例をあげてみました。
【走行環境の変化】
ちょい乗り、街乗り、高速走行、郊外路走行の違いによる燃費の変化が大きい。数km/L単位の燃費の違いが発生する
【季節の変化】
夏と冬で、エンジンが完全に暖まるまでの時間が異なる。冷えてるときほど燃費が悪い
【エアコン使用の有無】
エアコン(A/CボタンON)の使用はエンジンの負荷が大きくなるので燃費が悪くなる
【タイヤの空気圧が低い】
タイヤの空気圧が低いほど、転がり抵抗が大きくなるので燃費が悪くなる
【タイヤを交換した】
タイヤの種類によって性能が異なる。燃費性能も関係する
【タイヤサイズを変更した】
インチアップしたり、太いタイヤを履いたり、ホイールの交換に伴って、転がり抵抗も大きく変化するので燃費に影響がある
【ハイオク車にレギュラーを入れた】
ハイオク指定の車にレギュラーを入れると、パワーダウンや燃費の悪化につながる
【ガソリンスタンドをかえた】
なかには粗悪な質のガソリンを販売しているところもある
▽異なる環境下での燃費の違いの実例を紹介
具体例として、わたし自身の愛車の燃費変化の体験例を、実際の数値を元にご紹介します。
・タイヤを17インチ→19インチにアップしたことで、同一の走行環境下において平均燃費が13.5km/h→12.5km/hに変化
・よく通る片道1時間の往路の燃費→20〜23km/h、復路の燃費→15〜18km/h。同じルートだが、往路の方が全体的に下り坂が多く、逆に復路は上り坂が多い
・普段の使用環境における平均燃費12.5km/h、高速道路のみ走行したときの平均燃費17.8km/h
実際に数字で比較してみると、道路状況の違いやタイヤが変わることによる燃費の変化が想像以上に大きいことがお分かりいただけるかと思います。
▽【補足】ディーゼル車のDPF再生中は燃費が悪くなる
現在のクリーンディーゼルエンジンは、環境基準に適合させるために、排気ガスに含まれる煤をフィルターで収集して、ある程度溜まると燃焼させて排気ガスと一緒に排出する機能があります。これをDPF再生と言います。DPF再生中は、燃料の噴射量が通常時と比べて増えるので燃費が悪くなります。
クリーンディーゼルで人気のマツダ車の場合、100〜300kmに一度の頻度で10〜15分程度のDPF再生がおこなわれ、この間は燃費が悪くなります。