2020年6月30日の改正道路交通法及び施行令により、いわゆる「あおり運転」を対象とした「妨害運転罪」が新設された。しかし今も「車間距離」を不必要に詰めてくる迷惑運転者が後を絶たない。
「こんな光景を見たことあります?」
そうつぶやき、X(旧Twitter)にイメージ画像を投稿したのは、栃木県にある「烏山自動車学校」のアカウント、ユズリアイ|安全運転補完計画(@projectyuzuriai)さん。
さらに続けて、「車間距離を詰めるメリットは全くない。こんな運転は本当にやめてほしい」とつぶやき、法定速度で走行するトラックの後ろを走る「赤い車」を、追い越しのために車線をはみ出すことが禁止されている黄色の実線をはみ出しながら、蛇行して車間距離を詰めてあおる「グレーの車」にヒヤヒヤさせられるイメージ動画を投稿。多くの憤りの声が寄せられた。
この後「あおる高級車に天罰」が定番
「前が詰まってるから意味がないのに…」
「車間距離詰める人は何がしたいんですかね?リスクの方が大きいってわからないのかな?」
「まあ弱い者イジメしたいんやろな」
「前の車にどんな人が乗っているかわからないのに、よくやるなあと思います」
「仮に何十台抜いたとしても、数分しか変わらない。なら、数分早く出れば良いだけの話。危険リスクや、ネットで晒されるデメリットばかり」
「こういう運転の仕方する人ほど俺運転上手いって思ってる」
「(グレーの車が)1人で事故って大破すればいいのに」
コメントの中には、「高級車の後ろに車がいなかったら、緊急停止レーンに停めて先に行かしたりしてますね」「車間距離短い車が後ろに来たら左行くかな。1車線だと停止して抜いてもらう。アホに付き合う気はない」と、あおる車は刺激せずに回避する、という声も多く寄せられた。
「『この後高級車に天罰』というのがYouTubeに上がってるドラレコ映像の定番」と、嘲笑のコメントも寄せられた「車間距離を詰めるデメリット」と、あおり運転への対処法について、ユズリアイ|安全運転補完計画さんにお話を聞いた。
「社会的信用」を失う可能性も
ーーメリットが全くない車間距離を不必要に詰める迷惑運転……逆にどんなデメリットが考えられるでしょうか?
「追突事故の危険性が高くなることはもちろん、車間距離保持義務違反、状況によっては、妨害運転罪で検挙される恐れがあります。また、ドライブレコーダーなどでSNSに投稿され、社会的信用を失う可能性もあります。このような運転をすることは、車や人にかかる負担も大きくなり、燃費の低下、タイヤやブレーキ等への負荷増大、運転者や同乗者の疲労増加など、デメリットしかありません」
ーー動画の中であおられている「赤い車」はどう対処するのが適切ですか?
「赤い車は、前を走るトラックに対して車間距離を詰めることなく、後方からあおって来る車から追突される危険性や、車間距離を詰められることによるストレスを回避するため、道路の左に自車を寄せて、後続車を先に行かせるか、道を変えるなどの対応が望ましいと思います」
ーーあおっている「グレーの車」の後ろを走行する「青い車」の立場なら…?
「青い車は、車間距離を保持しつつ、万が一交通事故が起きた際は、可能であれば事故が起きる前の状況を証言したり、ドライブレコーダーの映像を提供するなどの協力ができると良いですね」
◇ ◇
年末年始は普段運転をしていない、いわゆるサンデードライバーとの遭遇も増える。不慣れな運転に困惑する気持ちも理解できるが、あおり運転による事故や交通違反、社会的信用を失うリスクの方が遥かに大きいことを忘れないでいたい。
■ユズリアイ|安全運転補完計画 さんのX(旧Twitter)アカウント