フェリング・ファーマ株式会社(東京都港区)は、このほど「保険適用前後における不妊患者の受診行動に関する調査 <EUREKA Family 2>」の結果を発表しました。同調査によると、2022年4月から不妊治療の保険適用が始まったことにより、約4人に3人が「子どもを持つことへの気持ちが強まった」と回答しました。また、夫婦が子供を持つという決断をしてから、妊娠に至る「病院へ受診するまでの総平均期間が短縮」していることが分かったそうです。
調査は、臨床的に不妊と診断された全国の20~50歳の女性(患者)113人、およびパートナーが臨床的に不妊と診断された18歳以上の男性87人(男女いずれも2022年4月時点で不妊治療が終了していない人)を対象として、2024年1月にインターネットで実施されました。
まず、不妊治療の保険適用により「子どもを持つことへの気持ちの変化はありましたか」を尋ねたところ、全体の74%が「気持ちが強まった」と回答しました。
また、「不妊症と診断された後の行動」について、「治療相談のために次回受診予約を行った」と答えた割合をみると、2022年調査の22%から2024年調査では28%と6ポイント増加し、積極的に治療開始に進む傾向がみられました。
そこで、妊娠を望むカップルが不妊症の疾患認知から受診、治療までの時系列での行動、心理状況の変化(ペイシェントジャーニー)を調査した結果、夫婦が「子供を持つ」という決断をしてから、妊娠に至る病院へ受診するまでの総平均期間は、保険適用前(2022年2月実施)の「6.4年」から保険適用後(2024年1月実施)では「5.9年」に短縮していることが分かりました。
一方で、不妊治療後、妊娠に至った患者の平均治療期間は、保険適用前の「約1.9年」から保険適用後では「約2.5年」と、保険適用後において期間が延長していました。
次に、「不妊治療において改善の余地があること」について尋ねたところ、保険適用前・後いずれも「不妊治療がもたらす感情的な影響について理解すること」(32%)が最多に。
次点以降をみると、保険適用後では「不妊症や不妊治療が社会にもっと受け入れられること」(30%)、「職場・雇用者のより良いサポート、理解が得られること」(24%)といった意見が保険適用前より増加していることから、より周囲からの理解やサポートが望まれていることが分かりました。
最後に、「診断前の不妊症や不妊治療に関する基礎知識」について調べたところ、全体の70%が「知らなかった」と回答。
その一方で、2024年6月から一般不妊治療の患者にも「AMH(抗ミュラー管ホルモン、卵巣予備軍/卵子数を反映する)検査」が保険適用されるようになったことから、AMH値の認知度について尋ねたところ、「知らなかった」と答えた割合は2022年調査の46%から2024年調査では32%となり、AMHの認知度が向上していることが分かりました。
この結果から同社は、「社会全体として妊娠・出産や不妊治療について適切な知識を持つことで不妊症患者の早期受診や適切な治療が促され、不妊治療における妊娠率向上につながると考えられます」とコメントしています。