修学旅行で手配していた貸し切りバスが、直前になってキャンセルされました。
大手旅行会社、近畿日本ツーリストはドタキャン理由について「昨今のドライバー不足」「国土交通省からの通達による長時間労働の見直し」を挙げ、バス運転手の時間外労働時間の上限が規制される「2024年問題」で代替バスが確保できなかったとし、「急遽(きゅうきょ)変更となってしまいました事を深くお詫び申し上げます」と中学3年生の保護者に謝罪しました。
貸し切りバスが確保できなくなり、東京から関西へ向かう旅程はどうなるのでしょう。謝罪文を受け取った保護者に聞きました。
近ツーの経緯説明文などによると、生徒達は新幹線で東京から関西へ向かい、京都から出発する1日目の貸し切りバスが確保できませんでした。
近ツーは「既に予約済みの1日目に利用するバス会社より、昨今のドライバー不足の影響により、貸切バスでの運行のお断りの連絡が先日ございました」「急遽代替のバス会社を探しておりましたが直近という事と、どのバス会社もドライバー不足と国土交通省からの通達による長時間労働の見直しの影響によりお断りされ、手配する事ができませんでした」と経緯を説明しました。修学旅行生は貸し切りバスの代わりに、近鉄の急行列車で移動し、列車に切り替えたことで発生する差額は返金されます。
ー貸し切りバスが確保できませんでした。
保護者「親としては、先生と子どもたちが気の毒だなと。貸し切りバスではなく、電車での移動に変わるので、子どもが知らない町ではぐれるリスクがあるし、引率する先生の心労も大きいと思います。事前に下見したルートと変わって、ぶっつけ本番になりますから。ただ、いち会社員としては、『物流2024年問題』だな、と痛感しました」
ー教育委員会や中学校から、近ツーの文書以外の説明はありましたか。
「特にありません。ただ、『損害賠償だ!』などと怒っている保護者さんはいないと思います。私は知りません。私自身、旅行代理店さんも胃が痛かっただろうし、気の毒だと思っています」
「また、今回のバス手配ができなかったことの原因がドライバー不足によるものと聞いていまして、それが理由なら、これまで私たち大人がドライバーさんたちにブラックな働き方をさせてきて、人手不足になったことも原因ではないか、と感じました。つまり、自業自得なのに、ツケを子どもが払っているということで、申し訳なく思っています」
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取材に応じた保護者はバスを確保できなかった背景について「私たち大人がドライバーにブラックな働き方をさせてきて、人手不足になったツケを子どもが払っている」と冷静に受け止めていました。
旅行会社を責めるどころか、旅行会社や教員の心労を気遣い、「修学旅行は、子どもたちにとって一大イベントで、一生の思い出だと思うので、他の学校さんでも安心して行けるといいと思います」と話していました。