▽燃費、走行性能比較
220系クラウンセダンと30系では、まったく異なるパワーユニットとなっている。直接比較できないので、短評とした。
▽220系クラウンセダンの走行性能
220系クラウンセダンのパワーユニット出力と燃費(WLTCモード)は以下の通り。
【2.5Lハイブリッド】
・システム出力:226ps
・燃費(FR):20.0km/L
220系クラウンセダンで最も人気があったパワーユニットだ。力強さは十分で、燃費もよくバランスがとれている。
【3.5Lマルチステージハイブリッド】
・システム出力:359ps
・燃費(FR):16.0km/L
パワフルなシステム出力が魅力だ。G系グレードを選ぶと、高級セダンらしい、余裕ある走りが可能になる。さらに、10段変速により、走りに優れたレスポンスとダイレクト感が生まれた。スポーティなRS系グレードだと、気持ちの良い走りが楽しめる。ただし、新車価格が700万円を超える高価なグレードに設定されていたため、販売台数は伸びなかった。
【2.0Lターボ】
・最高出力:245ps
・最大トルク:350Nm
・燃費(FR):12.4km/L
わずか1,650回転で最大トルク350Nmを発揮する、いわゆるダウンサイジングターボエンジンだ。街中では、とくに力強く走る印象が強い。ただし、高回転域ではパンチにやや欠け、スポーティな印象には欠ける。2.5Lハイブリッドより、やや力強い印象だ。使用燃料がハイオクで燃費が良いわけでは無いので、燃料費は高めになる。
220系には、RS系とG系の2つのグレードが存在する。RS系は従来のアスリートで、スポーティな仕様で、G系は乗り心地重視のロイヤル系だ。人気はスポーティなRS系が勝っていた。
RSアドバンスとG系には、AVSが標準装備されている。サスペンションの減衰力を走行状況に合わせ可変されるものだ。AVSにはドライブモードが設定されており、7つのモードから設定が可能だ(SPORT S+/SPORT S/NORMAL/COMFORT/ECO/CUSTOM/SNOW)。
RS系でSPORTモードを選択すると、サスペンションがグッと引き締まり、よりスポーティな走りが楽しめる。SPORTモードでも、乗り心地はそれほど悪くならないのもよい。
▽30系クラウンセダンの走行性能
対する30系クラウンセダンのパワーユニット出力と燃費(WLTCモード)は以下の通りだ。
【2.5Lマルチステージハイブリッド】
・システム出力:245ps
・燃費:18.0km/L
30系クラウンセダンは、新開発の2.5Lマルチステージハイブリッドをトヨタ車で初搭載した。従来のハイブリッドシステムに加え、4段の変速機が加わった。駆動力が向上し、低車速からの最大パワー使用が可能になったため、より力強い走りが可能になった。
また、変速機が加わったことで、模擬10段変速制御となった。リズミカルな変速やドライバーの意図に忠実なエンジン回転数変化と加速感が可能となり、より走りが楽しめるハイブリッドシステムとなっている。
【FCEV】
・モーター最高出力:182ps
・モーター最大トルク:300Nm
・燃費:148km/kg
・一充填走行距離(参考値):約820km
すでに発売されているFCEVであるトヨタ ミライと同じパワーユニットを使っている。最高出力こそ182psと少々アンダーパワー気味に見えるものの、最大トルクは300Nmもある。モーターは、アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮するので、数値以上に力強く感じる。一充填走行距離は約820kmと十分だが、まだまだ水素ステーションが少ない点が難点だ。
30系と220系は、同じGA-Lプラットフォームを使用している。しかし、ボディサイズが大きく異なるため、走行フィールも違う。車名は同じでも、全く違うクルマだと理解した方がよいだろう。
また、220系クラウンセダンは、スポーティセダンを目指しているが、30系はショーファーカーを視野に入れているため、乗り味も異なる。220系は、ややカッチリしたフットワークをもつが、30系はしっとりとした乗り心地重視のセッティングになっている。街中でのぼり心地は、ややフワフワしているが、高速道路のカーブではフラットな姿勢を維持して、意外なほどスポーティな走りを披露する。これは、AVSという可変式減衰力調整機能付きダンパーによるものだ。走行シーンに合わせた最適な乗り心地と走りを実現している。30系クラウンセダンの走りは、このAVSが支えているようにも感じるほどだ。