「やれそうな仕事ではなく、やりたい仕事を」…自殺未遂を乗り越えたエッセイストが「障害者向けライタースクール」の開校に挑戦

古川 諭香 古川 諭香

「当時は、離婚して家庭と仕事を失い、フリーランスでデザイン関係の仕事をしようと思っていた時期でした」

惜しくも新人賞の受賞は逃したが、それを機にNHKから番組のコメンテーターを依頼され、原稿の執筆依頼も舞い込むようになった。

そして、29歳の頃には、自身の半生を綴ったエッセイ集『しにたい気持ちが消えるまで』(三栄書房)を発表。プロのエッセイストの仲間入りを果たした。

文筆業の楽しさとフリーランスの不安定さを知った日々

文章を紡ぐ者にとって、豆塚さんの経歴は輝かしく映る。だが、一時期は市役所に生活保護の申請法を尋ねにいくほど、心身共に厳しい状況に置かれたこともあったという。

「仕事のために文章の技術を磨いたり、福祉や人権の知識を勉強したりはしていたけれど、自分に自信がなく、クラウドソーシングサイトで売り込むことはできませんでした。どうやって仕事を得ればいいのかも分からなかった」

特にコロナ禍では、コメンテーターの仕事が激減。フリーランスという働き方に付きまとう”不安定さ“という恐怖を痛感した。

そんな苦しい時期に出会ったのが、障害者のリアルな日常や思いを配信するウェブメディア「パラちゃんねるカフェ」の運営者・中塚翔大さん。

この出会いを機に、豆塚さんは「パラちゃんねるカフェ」にも寄稿するように。魂のこもった記事は読者の胸を打ち、常にアクセスランキングトップ5入りするほどの反響を得た。

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