20代前半でも転職を成功させられる理由
社会人経験が浅い20代前半でも、転職を成功させている人もいます。その背景には、20代前半ならではの特性が深く関係しています。
▽若手人材のポテンシャルが期待されているため
20代前半はほかの世代に比べて社会人経験を積んでいないため、経験やスキルを重視している企業は少ないでしょう。企業は、20代前半の人材にはポテンシャルの高さを期待しています。ポテンシャルとは、将来的に発揮されると想定される潜在能力のことです。
20代後半になると、経験やスキルがより重要視されるため、ポテンシャルに対する期待は低下すると考えられます。
また、20代前半の求職者は長いキャリアの初期段階にあります。社会人経験が少なく、特定の業界や職種に対する固定観念を持っていないことが多いでしょう。一つの価値観に縛られていないため、企業のカルチャーを受け入れやすい状態と言えます。
株式会社学情の「企業の20代採用について聞きました!業種・職種未経験者を採用する際に重視するポイントとは?」でも、企業が業種・職種未経験者を採用する際に重視するポイントとして、「人柄・社風との相性」と回答した企業が最も多くなりました。
◇ ◇
【業種・職種未経験者を採用する際に重視するポイントと割合】
人柄・社風との相性:90.2%
成長意欲:49.5%
志望動機:40.7%
身だしなみ・ビジネスマナー:40.7%
転職理由:39.7%
経験してきた業務内容・実績:26.9%
自己PR:26.3%
企業・事業への理解度:21.2%
所有資格・スキルの高さ:13.8%
その他:1.8%
◇ ◇
企業は、自社の経営理念やカルチャーを浸透させる目的で、社風にマッチする可能性がありそうな20代前半の人材を求めていることがわかります。
▽第二新卒向けの求人に応募できるため
第二新卒とは、大学を卒業して就職したあと数年で離職し、転職活動をしている若い世代の求職者です。一般的には、社会人経験が3年未満の人々を指し、20代前半の人たちが含まれます。
近年は、第二新卒を求める企業が増えています。一度でも社会人経験がある求職者は、基本的なビジネスマナーを身に付けているため、新卒者ほどの教育や研修が必要ないからです。企業は第二新卒を採用することで、教育コストを削減できるメリットがあります。
▽人口減少を理由に、若手人材の応募数が少ない傾向にあるため
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和3年8月)の概況」によると、業界全体の人手不足は34%だったことがわかっています。
近年は少子高齢化により、多くの企業が人手不足を課題に抱えている状況です。若い世代向けの求人を出しても、応募が集まらず予定採用人数を確保できない企業も増えています。
求職者に対して求人数が上回る売り手市場が続いており、人手不足を解消するために20代前半の人材を積極採用する企業も多い傾向にあります。
20代前半での転職が難しいケース
20代前半は、ポテンシャル採用や第二新卒での応募が期待できるため、社会人経験が少なくても転職できる可能性があります。一方で、求職者の状況によっては20代前半での転職が難しいケースもあります。
▽転職回数が多い場合
近年は働き方に対する価値観の多様化により、転職も珍しくありません。しかし、20代前半にも関わらず、やむを得ない理由もなく、あまりにも転職回数が多いと転職を成功できない可能性があります。
20代前半で転職回数が多い場合、企業から労働環境への適応力が弱い、安定性が低いとネガティブな印象をもたれやすいので注意が必要です。
また、1年以上同じ企業での勤務経験がない場合、信頼性が低いと見られることがあります。20代前半で転職を検討している場合は、現職場でも1年以上在籍するようにしたほうがよいでしょう。
▽転職目的と志望動機が不明確な場合
20代前半に限らず、転職する際には目的と志望動機を明確にしておく必要があります。たとえば未経験でもやりたい仕事がある、キャリアアップしたいなどです。
目的がはっきりしていないと、志望動機が曖昧になりやすい側面があります。転職する際には、特に次の点を明確にしておきましょう。
・応募先企業を志望した理由
・応募した職種で働きたい理由
・他社を応募しなかった理由 など
志望動機があいまいだと、入社後にギャップを感じて早期離職につながる恐れもあります。転職目的と志望動機は、できるだけ具体的に説明できるようにしておきましょう。
▽将来のビジョンが見えていない場合
20代前半で転職する人のなかには、現在の職場や仕事に不満があるケースも少なくありません。たとえば給料が低い、人間関係に悩んでいる、長時間労働が常態化しているなどです。
しかし、20代前半はそれ以上の世代に比べて経験やスキルが十分ではないため、転職しても給料が下がる可能性もあります。企業研究が不十分な場合、また同じような課題に直面するかもしれません。
そのため、20代前半で転職する際には目先の不安だけでなく、将来的なビジョンに目を向けることが大切です。将来的なビジョンを持って転職活動を進めると、20代前半でも転職を成功できる可能性が高まるでしょう。