若い世代が離職する理由は、厳しい職場環境や長時間労働だけではなく、「ゆるい職場」に対する不安もあげられます。「ゆるい職場」とは、働く人の能力や期待に対して負担が少ない一方、成長の機会ややりがいが乏しい職場のことです。
競争が激しい現代社会に対応するため、若い世代はスキルアップの必要性を強く感じる傾向にあり、職場のゆるさに不安や焦りを感じる人が増えています。
本記事では、20代前半における転職の難易度や転職市場の動向などを解説します。
20代前半での転職は難しい?
20代前半は、それ以上の世代に比べると社会人経験は少ないですが、転職が難しいわけではありません。20代前半は高いスキルや経験ではなく、個人の特性や成長意欲などが評価されやすい傾向にあります。
そのため、未経験の業界や職種でも、仕事への意欲や得意分野をアピールすれば、転職できる可能性は高くなるでしょう。実際に20代前半で転職している人は多いという結果も出ています。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、20代前半(20~24歳)の転職入職率は、男女ともに14.7%だったことがわかっています。
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【年齢階級別転職入職率】
19歳以下:男性19.9%、女性18.9%
20~24歳:男性14.7%、女性14.7%
25~29歳:男性15.3%、女性14.1%
30~34歳:男性9.5%、女性14.0%
35~39歳:男性7.7%、女性10.7%
40~44歳:男性5.7%、女性9.6%
45~49歳:男性5.4%、女性10.0%
50~54歳:男性5.1%、女性9.6%
55~59歳:男性5.7%、女性7.3%
60~64歳:男性11.4%、女性9.4%
65歳以上:男性9.7%、女性5.4%
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男性の割合は19歳以下の19.9%、20代後半(25~29歳)の15.3%に続く高さです。
女性は19歳以下の18.9%に続く割合の高さでした。女性の場合、20代後半になると14.1%とやや低くなります。
30代以上になると、男女ともに転職入職率が下降傾向にあるため、多くの企業が20代前半をはじめとした若い世代を積極的に採用していると言えます。
最新版・20代前半における転職市場の動向
転職市場は社会情勢や経済情勢の影響を受けやすいのが特徴です。20代前半で転職を検討している場合は、転職市場の動向を把握しておくことも大切です。
▽【早期離職率】就職後3年以内の離職率は32.3%
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」によると、令和2年3月に大学を卒業し、就職した人のうち、32.3%が3年以内に離職していることがわかっています。これは、前年より0.8ポイント増加しています。
離職率は会社の規模が大きいほど低く、規模が小さいほど高い傾向にあります。
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【会社の規模と離職率】
5人未満:54.1%
5~29人:49.6%
30~99人:40.6%
100~499人:32.9%
500~999人:30.7%
1,000人以上:26.1%
▽【新規求職申込件数】月28,000件程度
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、令和5年1月から11月までの20代前半を対象とした新規求職申込件数の平均は、月に28,000件程度だったことがわかっています。
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【月ごとの新規求職申込件数】
1月:27,596件
2月:27,254件
3月:31,901件
4月:33,590件
5月:28,977件
6月:27,221件
7月:24,890件
8月:25,968件
9月:26,302件
10月:26,785件
11月:22,590件
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20代後半の月平均は38,000件程度なので、20代前半は10,000件程度少ないのが現状です。