「生活が不安だから」「子供のため」「夫婦別姓のため」…離婚後も同居を選ぶ夫婦たち 気をつけたい法的ルール【弁護士が解説】

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離婚後も同居する際の手続きは?

離婚後も同居する際、必要となる手続きがあります。きちんと手続きをして、ただの同居なのか、事実婚なのかを明確にしておかないと、トラブルになる恐れがあります。どのような手続きがあるのか、注意点とともに紹介します。

▽世帯分離手続き

離婚届を提出すれば、戸籍が変更され、住民票の名字も離婚後の名字に変更されます。しかし、元妻か元夫のどちらかが、住民票の異動届を出さないと、住民票では同一世帯として扱われます。事実婚としてこれまで通りの生活を続けるのなら、これでも構いません。しかし、生計が別であることを明確にするには、「世帯分離」という手続きが必要です。

世帯分離とは、同じ住所に住み、住民票に同一世帯として登録されている世帯を、生計が別になっているとして分離する手続きです。たとえば、同一世帯であれば、家族の収入は世帯収入として合算されますが、世帯分離すれば、世帯ごとに収入が合算されます。

社会保険料の中には国民健康保険料のように世帯収入に応じて保険料が決まるものがありますし、国や自治体などからの支援金や補助では、世帯収入額によって所得制限が設けられることがあります。このため、世帯分離をすれば、保険料などの額が減り、それまで受け取れなかった公的支援を受けられるようになるかもしれません。

▽公的支援の申請

離婚をすると、収入が減るため経済的な公的支援を受けられることがあります。特に子供を引き取った場合、ひとり親支援のための手当を受給できる可能性が高いでしょう。しかし、元配偶者と生計が別でなければならないので、世帯分離の手続きは欠かせません。手続きを忘れないようにしましょう。

ひとり親支援の手当としては児童扶養手当があります。ほかにも、自治体によっては児童育成手当、ひとり親家族等医療費助成制度を設けているところがあります。自治体によって制度や金額が異なるので、住んでいる自治体にどのような支援を受けられるのかを確認しましょう。

ただし、公的支援を受ける場合は、偽装離婚と判断されないように、生計が別であることを明確に証明できるようにしておくことが必要です。

離婚後同居をする際はルールを定めよう

事実婚になるために離婚した場合は、離婚した後も夫婦生活は大きく変わらないでしょう。しかし、世帯を別にして、全くの同居人として一緒に住むのであれば、生活するうえでのルールを決めておく必要があります。どのようなルールが必要なのか、紹介します。

▽費用の負担割合を決める

離婚した後も、同じ家に住むということはシェアハウスするようなものです。貸し借りの関係をはっきりさせ、家賃や光熱費の負担をどうするのかについて決めておきましょう。冷たいように思えるかもしれませんが、生計を分ける以上、当然のことです。逆に費用負担をあいまいにすると、偽装離婚と疑われる恐れもあります。

離婚する際には、財産分与や親権、養育費の話などもするはずです。もし、同居することが決まっているのであれば、同居期間の費用負担の方法についても、しっかり話し合いましょう。

同居期間についても「何年間」と期限を定めたうえで、一定期間が経過した後、同居を続けるかどうか、続けるとした場合、費用の負担割合や次の同居期間をどうするか、などについて改めて協議すると定めておくと、同居開始後のトラブルを防止するのに有益な場合があります。

▽日常生活の規則を作る

シェアハウスやアパートに入居者の規則があるように、同居生活には日常生活のトラブルを避けるためのルールが必要です。結婚していた頃とは違うのですから、しっかりルールを作って、誠実に守っていきましょう。

たとえば、掃除やごみ出しなど共有部分の家事はどのように分担するのか、門限を定めるのか、親権者が子供の面倒をみられないときはどうするのか、など細かな点まで決めておくといいでしょう。もしかすると、離婚する前より、うまく協力し合えるかもしれません。

▽お互いの生活に干渉しない

もともと夫婦で、その後も同居して相手の生活ぶりを見ていると、ついつい相手のすることに口を出してしまいがちです。しかし、もう赤の他人なのですから、何も言う権利はありません。もちろん、自分がすることにも、あれこれ相手から指図される筋合いはありません。

人によっては、これが一番つらいかもしれません。どうしても、相手のすることが気になるのなら、できるだけ早く同居を解消したほうがいいでしょう。特に相手の交友関係に口を挟んでは絶対にいけません。相手に新しい交際相手ができても、自分には関係のないことです。

離婚後の同居で悩んだら専門家に相談しよう

離婚後も事実婚や内縁関係ではなく、同居人として一緒に住むことは法的に問題はありません。しかし、元夫婦とはいえ、赤の他人と一緒に生活するのは簡単ではありません。相手のすることが気になり、ストレスを感じることもあるはずです。

夫婦の事情もさまざまで、どうしても同居しなければならないときもあります。そうしたときは、夫婦関係に詳しいカウンセラーや弁護士に、同居生活の問題点や注意点などについてアドバイスを求めるのも一つです。現状を第三者の目でみてもらうことで、問題の解決策が見つかるかもしれません。

◆弁護士事務所 北松戸ファミリオ法律事務所 (千葉県弁護士会所属)/リコ活専門家
2020年に開業した当事務所は、ご家族内やご家族をめぐる問題やお悩みを気軽に相談できる地域密着型の法律事務所として、一人一人のお客様に親身に寄り添い、最善の解決を目指しています。

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