「生活が不安だから」「子供のため」「夫婦別姓のため」…離婚後も同居を選ぶ夫婦たち 気をつけたい法的ルール【弁護士が解説】

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離婚後も別居せずに同居を続ける夫婦がいます。子供を親から引き離したくない場合や経済的な負担を軽減するケースなどさまざまな理由があるようですが、離婚した夫婦が一緒に住むことに問題はないのでしょうか。離婚後も同居する場合のメリットや注意点などについて解説します。

離婚しても同居するさまざまな事情

離婚したいのに、離婚後に住む家がなく、生活も不安なので離婚せずに我慢しているという人は少なくありません。そうした人の中には、離婚後も別居せずに、生活の目途が立つまで同居するという人もいます。また、子供を親から引き離すのはかわいそうだとして、一緒に住むことを選ぶ人もいるようです。また、不仲になったわけではないのに、事実婚や内縁関係でいたいとして、離婚したうえで同居を続ける夫婦もいます。

このように一見おかしいように見える離婚後の同居ですが、それぞれの事情によって同居せざるを得ないこともあります。離婚後も一緒に生活を続けると何か問題が生じるのでしょうか。法律上の扱いを含め、問題点や注意点を解説します。

離婚後も同居は可能?

法律上は、双方の合意によって作成された離婚届が提出され、自治体に受理されれば正式に離婚が成立します。そこからは赤の他人ですから、別々に暮らしていようが、同居していようが問題はありません。婚姻届けを出していない男女が同居していても問題ないのと同じです。

ただし、ただの「同居人」として生活するのか、事実上の婚姻関係にある「事実婚」なのかによって、法律や制度上の扱いが異なるケースがあります。この違いを理解していないと大きなトラブルになることもあるので気を付けましょう。

▽単なる同居人として生活する場合

離婚届を提出しても、直ぐに引っ越し先が見つからないという事情や、子供を親から引き離したくないといった理由から、単なる同居人として同居を続けることがあります。この場合は、それぞれが自分の生活費を負担し、光熱費も取り決めに従ってそれぞれ応分の負担をすることになるでしょう。

こうしたケースであれば、シェアハウスや下宿と変わらず、夫と妻はそれぞれが自由に生活できます。もちろん、不貞行為を問われることはないので恋愛は自由ですし、互いに助け合う義務もありません。ただし、子供がいる場合、親権を持っていない側は養育費を支払う義務があります。

▽事実婚として生活する場合

離婚届を提出して法律上の婚姻関係を解消したものの、実質上の夫婦生活を継続するケースもあります。婚姻届を出さずに実質上の夫婦生活を送っているカップルは珍しくありませんから、こうした形態の夫婦関係も問題はありません。一般的に「内縁関係」「事実婚」などと言います。

最近、多いのは仕事の関係で旧姓を名乗りたいという人です。事実婚のカップルは、生計を一にして助け合って生活します。このため、事実上の婚姻関係にあることが明らかであれば、多くの場合、結婚している夫婦と同じように扱われます。事実婚の関係を解消する際も、浮気の慰謝料や財産分与などが認められる可能性が高いでしょう。

ただし、内縁関係の場合、遺産の相続権はありません。遺産を相手方に引き継がせたい場合は、遺言書を書いておくことが必要です。

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