70歳以上の人が車を運転する際、付けることを推奨されている「高齢者マーク」だが…。思わず二度見してしまう高齢者マークの付け方をした車が、北海道内で目撃されている。後方に5枚の高齢者マークをV字型に貼り、「近ずかないで」「必死に運転中」と手書きのシールを付けた車。数年前から地域で見掛けられているといい、背景に車が手放せない地域事情が垣間見えてきた。
駅前や商店街はシャッターに
目撃したのは、北海道苫小牧市在住のトラック運転手の男性(54)。「3年前に初めて見た時は、派手にアピールしているな、とびっくりしました。後ろに付いたのは4回目かな? どんな方が運転しているのかは分かりませんが…」と話す。
今回は4月1日午前8時ごろ、市内の交差点で信号待ちの際に後ろに付いた。「きっと車のオーナーさんは運転中に緊張して不安な思いをしているんじゃないかな」と想像する男性。ただちに十分な車間距離を取り、近付かないようにしたという。
北海道の生活事情にも触れる。「北海道に住むのに車は必須です。特に地方の過疎化はすさまじく、駅前商店街はシャッター街になっている町は多いんです。郊外への大手ディスカウントストアの進出とネット通販の影響で、閉業した店もあります。ネットやスマホに馴染めない年配の人は、仕方なく車を運転して出掛けるしかないんです」と説明する。
今回、当該車と遭遇した様子はXにも投稿すると、さまざまな意見が飛び交った。「早く免許返納してくれ」「事故してからでは遅いよ」との意見がある一方、「逆にありがたい」「自覚していていい」などの声も。男性は「いろんな意見がありますが、駐車場に止める時は隣のレーンを空けて安心させてあげるなど、配慮できればなと思います」と話した。
貼布位置に禁止事項なし
北海道警によると、高齢者マークは道路交通法上、普通自動車の前面および後面に一枚ずつ取り付け、位置は地上0.4m以上1.2m以下の見えやすい場所に貼ると規定がある。一方で、禁止事項はなく、罰則はないという。今回のケースについては「取り付け位置が明らかではないので、規則に抵触するかは判断しかねる」としつつ、「貼布位置を逸脱している場合には車両の停止を求めて、正しい貼布位置について指導することにはなる」とした。