「南座の前のゴミ箱は京都市が設置しているのでしょうか?またゴミの回収はどのようにされているのでしょうか」。京都市東山区の南座前に置かれたごみ箱について京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に投稿があった。このごみ箱は「ごみがあふれている」としばしばSNSで話題になる。ごみ箱の実態と回収頻度などを調べた。
投稿者はタクシー運転手小田庸夫さん(58)=南区。小田さんは1月中旬の午後6時ごろ、ごみ箱の前の四条通を通りがかった際、ごみ箱からごみがあふれており周囲に缶や飲食物の容器などが散乱しているのを見かけた。「観光都市・京都としては恥ずかしい光景」と感じ投稿したという。
南座前のごみ箱を巡っては昨年7月や同11月にもごみがあふれている写真がSNSに投稿され、注目を集めた。
1月下旬から2月下旬にかけてごみ箱がどうなっているのか複数回、見に行った。南座前には黒いごみ箱が4基あり、うち二つが「かん・びん・ペットボトル入れ」、もう二つが「普通ごみ入れ」だ。すると夜や週末の昼間、普通ごみ入れのうち一つは満杯になっていることが多かった。ただごみがあふれている光景は目にすることはなく、定期的に回収されている様子がうかがえた。
ごみ箱には「京都市環境政策局」と書かれている。ごみの回収頻度はどれくらいなのか、京都市まち美化推進課に聞いた。
同課によると、ごみ箱は京都市が設置しており、月~金曜日は市が、土曜日と日曜日は委託業者が回収している。回数は原則として1日2回だが、観光客が多い時期などごみ箱があふれそうな時期には回収の頻度を増やしている、という。
「ごみ箱があふれている」という状況があったなら、京都の町にごみ箱が足りていないのではないか。そんな疑問も浮かぶ。そもそも、京都市はどれくらいの数のごみ箱を設置しているのだろう。
市まち美化推進課は「市内に約300基設置しています」と回答した。市内には43の美化推進強化区域があり、観光地である嵐山のほか大原、鞍馬・貴船などが設定され、ごみ箱を重点的に設置しているという。南座前のごみ箱4基は「河原町・木屋町・四条区域」に含まれ、設置されているそうだ。
市まち美化推進課の担当者は「京都市はほかの政令市よりかなり多くごみ箱を設置しています。例えば大阪市の設置数はゼロ、神戸市は30程度と聞いています」とした。
さらに担当者は「夜は回収を終えた後にあたり、ごみ箱があふれている時間帯はあるかもしれない。だが、回収はきちんと行っているし、地元の住民のみなさんも門はきなどをして協力していただいている」と繰り返し強調した。
新型コロナウイルス感染症の5類移行後、京都を訪れる国内外の観光客は急回復している。春の観光シーズンにはさらに多くの観光客が訪れ、発生するごみの量も増加する恐れもある。投稿者の小田さんは「ごみがあふれている光景を見ると、ごみを持ち帰る意識向上のためにごみ箱はない方がいいのかもしれないと考えてしまいます」と話す。美しいまちを維持するための最適解が問われている。