追突事故を起こしたら「保険の等級」「ゴールド免許」はどうなる? 「物損」か「人身」かで大きく変わる処分・賠償責任

村田 創(norico by ガリバー) 村田 創(norico by ガリバー)

人身事故の違反点数・罰金・賠償

「クルマに追突して相手のドライバーがケガをした」「歩行者を巻き込んでしまった」といった人身事故の場合は、事故の内容に応じて違反点数が科されますし、刑事罰の対象にもなり得ます。もちろん、民事の賠償責任も発生します。

▽違反点数は基礎点数+付加点数の合計

違反点数に関しては、以下の2つの合計分が加算されます。

・交通違反に対して科される「基礎点数」
・被害者の負傷状況と過失割合で加算される「付加点数」

物損事故について下表のような別の違反事実が認められる場合には、所定の違反点数が加算されます。

   ◇   ◇

安全運転義務違反(よそ見・脇見・漫然運転など):2点
無車検運行:6点
無保険運行:6点
大型自動車等無資格運転:12点
仮免許運転違反:12点
30㎞以上の速度超過(高速は40㎞):12点
酒気帯び運転(0.25未満):13点
酒気帯び運転(0.25以上):25点
過労運転等:25点
共同危険行為等禁止違反:25点
無免許運転:25点
酒酔い運転:35点
麻薬等運転:35点

   ◇   ◇

なお、人身事故の場合には下表のとおり相手の状態に応じて2点~20点の加算があります。

   ◇   ◇

【死亡事故】
専ら加害者の不注意により事故が発生した場合:20点
相手にも非がある場合:13点

【重傷事故:治療期間3ヶ月以上、後遺症あり】
専ら加害者の不注意により事故が発生した場合:13点
相手にも非がある場合:9点

【重傷事故:治療期間30日以上、3カ月未満】
専ら加害者の不注意により事故が発生した場合:9点
相手にも非がある場合:6点

【軽傷事故:治療期間15日以上、30日未満】
専ら加害者の不注意により事故が発生した場合:6点
相手にも非がある場合:4点

【軽傷事故:治療期間15日未満】
専ら加害者の不注意により事故が発生した場合:3点
相手にも非がある場合:2点

ゴールド免許は取り消しで免停の可能性も

人身事故はそれ自体が行政処分の対象となり、違反点数が加算されますので、ゴールド免許は取り消しとなります。

また前歴がない場合は違反点数6点以上、前歴1回の場合は4点以上で免停となるため、人身事故を起こした場合に一発で免停になることも少なくありません。

▽刑事罰

人身事故は刑事罰の対象となります。もっとも一般的な自動車運転過失傷害罪の場合は7年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金刑が法定刑です。事案が悪質な場合には危険運転致死傷罪等が適用されることがあり、この場合の法定刑は更に重くなります。

▽損害賠償も高額になりがち

人身事故についても、当然、民事での賠償責任が発生します。一般的には被害者側に生じた以下のような人的損害を賠償する責任を負うこととなります。

・治療費
・休業により喪失された収入
・入通院に係る慰謝料
・後遺障害が発生した場合の慰謝料及び逸失利益

人身事故は補償を要する金額が大きくなることもあり、強制加入の自賠責保険ではカバーしきれないことも珍しくありません。この場合に対人無制限の任意保険に加入していれば特に問題はありませんが、そうでない場合は自賠責保険でカバーされない損害額は運転者が自ら賠償しなければなりません。

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