もうフルタイムの会社員勤務は限界だった…起業に挑戦する2人が語る「自由」と「お金」のリアル はたして後悔のない選択だったのか

八幡 康二 八幡 康二

フルタイム勤務に戻りたいと思うことは…

ーこれまでのようなフルタイム勤務に戻りたいと思うことはありますか?

中西さん
「まったくありません。例えば福利厚生の充実や年末調整の簡単さ、最終的な責任は会社が持ってくれるなどフルタイム勤務にもメリットはありますが、それ以上に自由がないことが私にとっては大きなデメリットでした。前職ではストレスからの抜け毛にも悩んでいましたが、最近は楽しく仕事ができているからか抜け毛がなくなりました。また雑貨店で私が卸しを担当した商品が販売されている光景を見るのも大きな達成感になって、今までにない満足感も得られています」

長田さん
「じつはWebクリエイターとしての仕事が安定しないため、1年前から前職と同じ製造業の現場で派遣社員としても働いています。その仕事は週5日勤務ですが10時から15時までで労働時間が短く、責任も少ないためとても働きやすいことから始めました。今の状態ではWebクリエイターとしての仕事に没頭はできませんが、月収が約12万円加算されることや大きな企業の福利厚生を受けられるなどメリットが大きいので、当分辞めるつもりはありません。派遣社員として働く時間を使えばもっとクリエイターとしての仕事を受けられることや、せっかく自由を手にするために起業したのに結局フルタイム勤務に戻ることへの嫌悪から、派遣社員として働くと決めるまでに1年悩みました。しかし、いざ開始してみると製造ラインで黙々と仕事をこなす時間は意外に楽しいです。もしクリエイター事業の収入が安定したら派遣の仕事は辞めるかもしれませんし、それが今の目標でもあります」

ー最後の質問です。起業したことは自分にとって成功でしたか?失敗でしたか?

中西さん
「成功ですね。起業を決断するまでは友人と何をやっていくかや、どのように営業するかなど、かなり話し合いましたしケンカにもなりました。しかしお互いにツテがあったことや身近に顧客となってくれる知り合いがいたなど運もよかったので、起業して半年くらいで経営を安定させることができた。経営にありがちな大きな苦労がなかったのも成功といえる要因でしょう。前職でのストレスを考えたら、もっと早く始めるべきでした」

長田さん
「現状、事業はうまくいっていませんが、間違いなく成功です。起業したことでクリエイターとして依頼をこなす楽しさも営業の辛さも知れましたし、フルタイム勤務の福利厚生のありがたさも知ることができました。またクリエイター事業と派遣の仕事をこなすことで、改めて自分が製造業の仕事が好きだと再確認できたのも大きいです。これからも時間が許す限り派遣の仕事も楽しめたらと思います。ただし責任あるポジションに異動となったら辞めるかもしれませんけどね」

   ◇   ◇

フルタイム勤務は時間の拘束によって自由がなくなるという考えもありますが、生活リズムを整えたり、安定した福利厚生などメリットが多いことが分かりました。

一方、起業して個人の裁量で働くことも自由で楽しいという面もありますが、収入が安定するとは限らないという側面も見受けられます。

どの働き方も一長一短あるなかで、あなたはどんな働き方を選択しますか。

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