おひとりさまが備えておきたいお金
先述の通り、独身であっても入院・手術のリスクはつきものですし、場合によっては第三者に代行を依頼する(有料)こともあると考えると、準備すべきお金は決して少額ではありません。
▽死亡リスクへの備え
例えば、葬儀・死後の遺品整理費用として数十万円~200万円程度あれば安心でしょう。
日本消費者協会の調べによると、全国の葬儀代の平均額は約200万円と言われていますが、葬儀代は参列者や地域によって差が非常に大きく、居住地の葬儀費用の平均額や希望する葬儀形式を元に予め確認しておくとより良いでしょう。
▽入院・手術リスクへの備え
医療保険で備えることもできますが、給付金の申請から支払いまで数日かかることもあり、最低限の現金は手元に残しておくことを意識してみましょう。また、日ごろから各種健康診断・検診を受け、積極的な健康維持も心がけると良いでしょう。
▽介護リスク・老後リスクの備え
独身の方にとって一番重要ともいえるお金です。
「〇〇万円あれば絶対に安心です!」などと明確な答えがあれば良いのですが、この点についても個人差が大きいのが実情です。
なぜなら、介護・老後リスクに必要なお金は、公的年金として受け取ることができる金額や収入、貯蓄額、健康状態・既往症など、さまざまな要素を考慮して目安額を算出する必要があります。
そのため、まずは
・自宅での介護を希望するのか、介護施設に入居するのか
・介護状態になったときの移動手段や買い物の手段はどうするのか
・入居したい介護施設はどこか(希望する施設にすぐに入所できない可能性も考慮しましょう)
上記のような具体的なポイントについて、予め確認することから始めましょう。
▽就業不能への備え
働けなくなるリスクを考えると、入院・手術費用に加えて、生活費が普段よりも嵩む可能性があります。
買い物・掃除の代行サービスを利用する、配達サービスを利用するとなると1回につき数百円~数千円程度の負担が生じます。
収入が減少することも考慮し、生活費の6カ月分は生活防衛資金として必ず確保しておきましょう。
▽専門家に代行を依頼する場合のサービス利用料金
家族や配偶者がいない、もしくは何かあっても家族に頼めないという人は、専門家に代行を依頼するケースもあるでしょう。
独身の方の利用が想定されるサービス・制度としては、
・身元引受人
・見守りサービス
・買い物や掃除の代行サービス
・死後事務委任契約(本人が第三者に、亡くなった後の諸手続・葬儀・埋葬・納骨に関わる事務等の代理権を付与し、死後事務を委任する契約)
などが考えられます。
例えば、入院時は一般的に「身元引受人」を問われます。
これは、意思疎通が困難な患者に代わる意思決定や死亡患者の引き取り等を目的として病院側が把握しておきたいとする情報であり、独身の人の中には民間の身元引受サービスを利用することもあるでしょう。
このように、(生前・死後に)利用が想定される代行サービス・制度を確認し、利用にはいくらかかるのか予め知り、必要資金を確保しておくと安心です。