「警察等で勾留されている女性は、ブラジャーをつけられません。男性警察官から取調べを受けたり、男性弁護士と接見したりする際に恥ずかしい思いをしています。無実の罪で逮捕されていても、です。大阪府警では、伸縮性のないブラトップであれば自傷の危険も低いから着用可能です」
とXに投稿したのは弁護士の貴谷悠加さん(@nyamu624)。
大麻取締法違反の容疑で京都府警中京署に逮捕された女性にブラトップ1枚を差し入れたところ、「自殺する危険がある。京都府警では認められていない」と断られたという。
京都府警の対応にリプ欄には、
「それは酷いと思います。男性であれ女性であれ、危険性のない下着なら、一定の範囲内で好きなものを着用可能にすべきではと思います」
「女性警察官や検事からも同じ声をあげるべきと思います」
「ブラジャーで自殺という発想がよくわからんです。あんなんで体重支えられないですよね」
「私は交通事故の冤罪で勾留されました。劣悪すぎです。まだ『疑い』なのにブラトップの差し入れを許さないのは、苦しめて自白させるなど、警察の言いなりにするのが目的と思いました」
という反響が寄せられた。
貴谷弁護士に話を聞いた。
ーー警察の留置場には制服はあるのでしょうか。
「制服はありません。自分が持ってきたものか差し入れされたものを着ます。ショーツに関してはリボンなどの飾りのないものということになっています。ブラジャーに関しては、裁判出廷時には希望すれば付けられるようになっていますが、それ以外は各都道府県警で決めています」
ーーブラジャーやブラトップを着用できない場合、乳首の形が顕になる可能性が高いと思いますが。
「そう思います。こうした辱めは法的にも許されるものではなく、憲法13条に定められた人格権を毀損していると考えます。京都府警にもそのように伝えました」
ーー取り調べを受ける時など、冷静ではいられませんね。
「非常に強い精神的負担があると思ってポストしました。ブラトップを差し入れしようとした被疑者も、『恥ずかしい』『話している最中も気になる』と言っていました」
ーーなぜ今まで問題にならなかったのでしょうか。
「女性被疑者が警察署で関わる人は警察官か弁護士ですが、弁護士は元々男性が多くて、刑事弁護をする弁護士はさらに男性の割合が多いと思います。私の体感ですが、女性被疑者で何度も再逮捕され警察で長期勾留される方はあまりいません。女性被疑者の母数がそもそも少なく、かつ男性弁護士にノーブラであることを訴えられなかった、ということだと思います」
ーー容疑者だから辱めを受けても仕方ないという意見もあります。
「被疑者には無罪推定の原則があります。なので、有罪確定前は、たとえ自白していても色々な自由があります。留置所内で、ジャンプなどの漫画雑誌やお菓子を買うこともできます」
ーー拘置所や刑務所ではどうなっているのでしょうか。
「法務省管轄の拘置所や鑑別所、刑務所等ではノンワイヤーブラの着用ができます。貸出しもあります」
現時点で、京都府警から貴谷弁護士のところには何の回答もないという。男女問わず、服装が原因で精神的に圧迫されることがあってはならない。誠実な対応が望まれる。