シャリッ、ぷるん 「食べる宝石」琥珀糖 見て美しく食べておいしい和菓子

山陽新聞社 山陽新聞社

 「食べる宝石」とも呼ばれる和菓子・琥珀(こはく)糖の新商品を、岡山県内の和菓子店が次々に投入している。SNS(交流サイト)の普及に伴い、カラフルで透明感のある見た目が“映える”と若者らの間で評判となり、認知度が向上。各店はユニークな形にしたり、季節にちなんだ商品を開発したりしてアピールしている。

 琥珀糖は砂糖と寒天を原料にした伝統的な和菓子。混ぜて固め、乾燥させることで表面が結晶化し、外側はシャリッと、内側はゼリー状のぷるっとした食感になる。黄金色に着色したことから琥珀糖と呼ばれた。涼しげで主に夏向きの商品だったという。現在は色や形、味が現代風にアレンジされたものが年中通して売られており、全国で専門店や専門のブランドも立ち上がっている。

星がテーマ

 和菓子製造・販売の小川屋(浅口市金光町大谷)は、天文関連施設の集まる同市にちなみ、星をテーマにした「天上コハク」(497円)を2018年から販売。果汁などで味付けした星形の琥珀糖が入っており、メロンやレモンの黄緑、ミックスベリーなどの赤、ミントなど清涼感のある水色の3色を展開している。

 製造時に出た切れ端や規格外品を生かそうと、昨年11月には冬季限定の「冬宇宙(ぞら)の星くず」(670円)、今年6月に夏季限定の「夏宇宙の星くず」(同)を発売した。琥珀糖のかけらと、冬はくず湯、夏はゼリーのもとなどの粉末がキットになっている。いずれも粉末を水で溶かせば淡い青や紫色になり、かけらを交ぜると宇宙に浮かぶ星のように見えるのが売りだ。

 天上コハクと季節限定のキットは岡山天文博物館(同市鴨方町本庄)の売店のほか、百貨店の催事などで販売。余剰分があれば小川屋のオンラインサイトでも不定期で扱う。同店は「どこでも売ってるものじゃない、おいしくて見た目にインパクトのある商品を目指した」とする。

際立つ食感

 和菓子店「文近堂」(倉敷市高須賀)は、4種類セットの琥珀糖(280円)を取り扱う。イチゴ、メロン、ブルーベリー、リンゴのフルーツソースでそれぞれしっかり味付けし、濃いめの色合いに仕上げて固め、包丁で四角形に切る。乾燥はオーブンの熱風を利用しており、表面が短時間で乾くため、外側と内側の食感の違いが際立つという。

 10年前にも販売していたが、売れ行きが伸びず一時中止。昨年11月に再発売した。同店の大崎喬寛専務(37)は「小学生から高校生までが特によく買っていく。子どもたちの間でブームになっているようだ」と驚く。

季節限定も

 菓子製造の廣榮堂(岡山市中区藤原)は18年から七夕やバレンタインなどの季節限定商品を取り扱う。20日からはカボチャやコウモリ、星などをかたどったものを詰め合わせたハロウィーン仕様(648円)を県内の直営7店で販売している。31日まで。味はグレープ、オレンジ、ラズベリー、プレーンの4種類。表面と内側の食感の違いが出やすい寒天を厳選している。

 ハロウィーン仕様は同年から製造しており、同社は「手作業が多く量産が難しいが、市場が広がっているアイテムなので作り続けている。若い人が和菓子に親しむきっかけになってくれたら」と話している。

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