室町時代からタイムスリップした男が、現代の岡山県でさまざまなトラブルに見舞われながら、交通安全や防犯への理解を深めていく―。そんなドラマ仕立ての啓発動画が話題となっている。タイトルは「時をかける時男(ときお)」。地元の住民が出演し、ケーブルテレビ(CATV)が演出と撮影・編集を担う。企画したのは岡山県警井原署だ。
動画制作の発端は、昨夏前に管内の刑法犯認知件数が増えたこと。防犯や交通安全を分かりやすく伝えようと、同署の吉村寿人交通課長が立案し、脚本と主人公を署員が務めている。
管内のCATV局である井原放送(井原市井原町)と矢掛放送(矢掛町矢掛)のほか、歴史公園・中世夢が原(同市美星町三山)も衣装やロケ地で協力。信号機のない横断歩道で歩行者優先を訴える第1話「道路横断」編、駐輪時の自転車の鍵かけを呼びかける第2話「防犯の基本は鍵かけ」編が10月中旬に完成した。
第3話「自転車乗るならヘルメット」編は、ヘルメットを着用していない時男が自転車で転び、救急車で運ばれるという内容。井原消防署(同市七日市町)で11月下旬にロケが行われ、消防隊員と井原高生3人が、迫真の演技を披露した。
カメラやマイクに囲まれながらも随所にアドリブを交えると、スタッフから「いいねー」「最高」と喝采も。井原高2年で演劇部部長の多田愛望さん(17)は「カメラの前での演技は緊張したけど楽しかった」と喜んだ。
今後もタイムリーな話題を取り上げる予定で、杉田龍弥署長は「地元の協力があってクオリティーの高い動画になった。関心を持ってもらい防犯、交通安全の意識向上に期待したい」と話している。
動画は、CATV2社で随時放映されており、動画投稿サイト「ユーチューブ」の岡山県警察公式チャンネルでも楽しめる。