家族の介護負担が大きくなったら…「介護休業給付」の活用を 「同居していなくも大丈夫」「精神的な症状のケアにも使える」【FPが解説】

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高齢化が進む中、介護は切っても切り離せないテーマですが、昨今さらに増えているのが、独身者が抱える介護の悩みや、鬱などの精神病患者を支える家族の悩みです。

たとえば両親は既に年金生活で、息子または娘である自分が一緒に同居して仕事と介護を両立させるような場合には、介護の負担が大きくなった際に仕事を休まざるを得ない時もあるでしょう。また、必ずしも身体的なものだけではなく、精神的な症状により、常にそばで心の支えにならなければならないときもあるでしょう。

そういった際に助けとなる制度が「介護休業給付」です。FPの立場から制度の概要や、具体的にどれくらいもらえるのかなど解説します。

介護休業給付とは

介護休業給付は、家族を介護するために仕事を休む場合に支給される雇用継続給付のひとつです。

男女問わず支給され、介護中は3回に分割して取得でき、通算で最高93日間支給されます。

「休業」給付のため、あくまでも職場復帰を前提としており、支給には以下の要件をクリアする必要があります。

   ◇   ◇

【支給要件】
・介護休業を開始した日前2年間に、被保険者期間が12カ月以上あること
・有期雇用労働者の場合は上記要件に加え、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6カ月を経過する日までにその労働契約が満了になることが明らかでないこと
(厚生労働省ホームページ「Q&A~介護休業給付~)

   ◇   ◇

93日を経過する日、つまり介護休業給付を最大限受給できる期間から、少なくとも半年以上は必ず同じ職場で働くことが大前提ということです。

なお、支給期間「通算で最高93日間」については、転職により異なる事業主のもとで働くことになった場合は、これまでの取得実績は通算されずリセットされます。

さらに、介護の状況によっても受給できるかどうかが変わります。

   ◇   ◇

【対象となる介護状況】

・負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある家族※を介護するための休業であること
※対象家族は、被保険者の「配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」「父母」「子」「配偶者の父母」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」です。また、養父母、養子なども含まれます。
・被保険者が、その期間の初日及び末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行い、これによって被保険者が実際に取得した休業であること
(厚生労働省ホームページ「Q&A~介護休業給付~)

   ◇   ◇

老化による身体的な介護のみならず、対象が孫まで含まれる点や、精神的な症状の介護にも適用される点がポイントです。

また、不正受給を防ぐために、勤め先にも介護のための休業であると認められていることが必須条件です。給付金の申請は被保険者本人の特別な希望がない限りは基本的に事業主を通して行う決まりになっていますので、会社への申告が漏れるというケースはそもそもあまり考えられないでしょう。

介護休業給付の支給額について

それでは、実際に受けられる給付額はどれぐらいになるのでしょうか。

介護休業給付の計算方法は、ずばり以下の通りです。

~介護休業給付計算式~
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

元となる休業開始時賃金日額の算出方法は以下の通りです。

~休業開始時賃金日額計算式~
休業開始前6か月の総支給額※ ÷ 180
※賞与を除いた、保険料等が控除される前の金額

所得状況により大きく差が出てくることにはなりますが、たとえば休業開始時日額が5,000円で、1ヶ月間給付を受けた場合には以下となります。

5,000円 × 30日 × 0.67 = 100,500円

日額だとイメージしづらいかもしれませんが、日額5,000円は月給約15万円ですので、月給15万円ぐらいの人が1か月間介護で休業した場合の給付額目安が約10万円ということです。

同じように計算していくと、それ以上の所得の場合の目安は以下の通りです。

・月給約20万円の場合…13万4千円程度
・月給約30万円の場合…20万円程度
・月給約40万円の場合…26万8千円程度
※いずれも介護休業期間が1カ月だった場合の給付額目安です。

なお、介護休業給付は3回に分けて通算93日まで受給できますが、一度の支給期間は原則30日まで(介護休業終了日が含まれる期間はその終了日まで)と決められていますので、上記給付額目安が一度に受け取ることができる金額の最大値になります。

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