コロナ禍を挟んで4年ぶりの開催となった東京の隅田川花火大会(7月29日)には、過去最多の約103万人が押し寄せ、人が引いた後にはあちこちにゴミの山が残された。SNSには「家の前がゴミだらけ」「毎回毎回ゴミの山。これが日本の実態だな」「マナーを守れないなら中止にした方がいい」といった地元住民らのため息まじりの投稿が相次ぐ事態に。が、一方でこんな光景が見られたのも今年を象徴するトピックといえるかもしれない。それは、「ゴミ拾いをするマッチョ集団」である。ユニークな社会貢献活動を企画したのは、フィットネスブランド「VALX(バルクス)」を運営する株式会社レバレッジ。狙いなどについて担当者に話を聞いた。
花火大会翌日の30日早朝。墨田区役所前には筋骨隆々の男女およそ40人の姿があった。誰もがタンクトップ姿で、トングやゴミ袋を手に、隅田川周辺に残されたゴミを拾って回った。
特にゴミが目立ったのは、花火がよく見える場所だ。レジャーシートがそのまま残され、飲み食いした後の容器やペットボトル、空き缶などが散乱していた。花火をよく見るためだろうか、放置された脚立まであったというから驚きだ。
そんな心ない“置き土産”を、マッチョたちは片っ端から笑顔で回収。およそ1時間で軽トラ1台分のゴミを拾い集めた。
レバレッジ広報担当の関口楽さんによると、この「ゴミ拾いマッチョ」は昨年の秋に始めた取り組み。渋谷のハロウィンや代々木公園の花見など、人が多く集まる場所でのゴミ拾い活動で話題を振りまき、この隅田川花火大会で4回目となる。キャッチコピーは「美しいのは、空だけじゃない」。
それにしても、そもそもなぜマッチョがゴミ拾いなのか。
「マッチョの利点はキャッチーであること。同じゴミ拾いをするのでも、マッチョというだけでとにかく人の目に留まりますし、SNSでも拡散されやすいんです。活動がこうして話題になることで、ゴミを放置するような人の意識を少しでも変えられたらと期待しています」
マッチョならではのゴミ拾い成果は?
「多少は人より重いゴミを持てた…のでしょうか(笑)。ちなみにマッチョ側のメリットとしては、筋トレって実は孤独な競技なので、ゴミの分別などで声を掛け合いながら、マッチョの輪が広がっていくのが嬉しかったですね。中にははるばる静岡から参加してくださった方もいたんですよ」
ネット上では「宣伝や売名であってもすごい」「話題性もあって素晴らしい取り組み」など、驚きと称賛の声が続出。関口さんは「今後もゴミ拾いに限らず、マッチョであることを生かした社会貢献に力を入れていきます。マッチョだけに」と話していた。