老後資金2000万円が必要というけれど… 動き出せないあなたに読んでほしい「定年後ずっと困らないお金の話」

松田 義人 松田 義人

「老後に2000万円必要らしいけど、そんな大金は準備できない」「結局、必要な老後資金はいくら?」といった声を耳にします。そんな中、定年後のお金にまつわる本が話題となっています。『大きな文字でとにかくわかりやすい 定年後ずっと困らないお金の話』(頼藤太希・著、大和書房)です。

本書は、会社も役所も銀行も教えてくれない「定年後の真実」や、「定年後は結局、何をやればいのか」という問いに、著名マネーコンサルタントの頼藤さんがズバッ!と回答。目から鱗の内容の一部を紹介します。

定年前後、決断を誤ると大損する「お金とのつきあい」

1971〜1977年生まれの、いわゆる第二次ベビーブーム世代がアラフィフとなった今、特に「定年後のお金」「再就職などのセカンドキャリア」「年金需給」などにまつわる不安の声が、メディアでも多く取り上げられるようになりました。こういった世代から60代以降に向け、本書は「決断を誤ると大損する『お金との付き合い』がいっぱいある」と述べています。やってはいけないことの一例を以下に。

■「いつ会社を辞めるか」考えずに働いてはいけない
■うかつに「年金の繰上げ受給」をしてはいけない
■退職金で「住宅ローンを完済」してはいけない
■国の制度を勉強せずに生命保険に入ってはいけない
■ iDeCo、NISAを「一度に解約」してはいけない
■「親の財産を把握していない」で済ませてはいけない
■「節税」対策を後回しにしてはいけない

もしかしたら「すでにいくつも当てはまっている」という人もいるかもしれません。

頼藤さんは「今からでも十分間に合う」と述べます。年金、退職金、投資…決断次第で大損することがある一方、うまく立ち回れば1000万円以上もトクができるのだそうです。本書では、その方法も一つ一つ丁寧に紹介されています。

老後資金2000万円には資産運用が必須

「定年後のお金」の話題で必ず持ち上がるのが「老後資金2000万円」。多くの人が「そんな大金はない」という中で、本書はそのリアルと解決策について以下のように解説しています。

■老後資金2000万円あれば「ゆとりある老後が送れる?」

会社員・公務員の夫(妻)と専業主婦(夫)の夫婦がもらえる年金額は、平均月額22万円です。一方、生命保険文化センターの調査によると、老後の生活費にゆとりを上乗せした「ゆとりある老後生活費」は平均月額約38万円。この16万円の上乗せを20年間用意するとなると、年金とは別に3840万円必要になります。仮に、その半分を退職金で用意できたとしても、ゆとりある老後の「2000万円問題」は存在するのです。

この2000万円問題を解決するには、投資の力が欠かせません。たとえば、50歳から20年間毎月5万円ずつ投資して年利5%で増やすことができれば、資産の合計は1831万円に増えます。さらに、NISAやiDeCoといた、投資の利益が非課税にできる制度を活用すると2055万円となる計算です。これで2000万円問題も解決です。お金が足りないからこそ、資産運用に取り組みましょう。

「未来の可視化」で柔軟に取り組むことが大切

これらの他にも「定年後のお金」「老後資金」などにまつわるあらゆる不安を解決すべき技が多数紹介されている本書。今の時代のニーズにズバリ応えた一冊のように思いましたが、どんな経緯で刊行されたのでしょうか。担当編集者に聞きました。

「時間を味方につける『積立投資』を勧める本はたくさんありますが、これは若者こそ圧倒的に有利な話。では、定年、引退などの言葉がちらつく世代は投資をしないほうが良いかというと、必ずしもそういうわけではない。まとまった資金があるシニア世代だからこそできる投資、老後資金の準備を紹介したいと考えました。また、シニア向け優遇措置の多くは申請主義。たとえ条件に合う制度があっても、自分から申請しないと利用できません。『申請用紙1枚』を出すか出さないかが大きく響いてくることはめちゃくちゃ多い。不安を煽られ続けてきた読者に、定年後のポジティブな側面を伝えられたら……そこに企画の可能性を感じました」(担当編集者)

また、著者の解説によって担当編集者でさえも「あらためて知る」ことの連続だったそうです。

「たとえば、老後の頼みの綱である『退職金』。企業によっては『一時金(一括)』だけでなく、『年金』受け取りも選択できるケースがあります。一時金で受け取ると、つい旅行や外食に使ってしまいそうだし、年金として受け取ると、勤めていた会社が一定の利率で運用してくれることで、受給額が『一時金』より多くなる可能性が高い。老後の安心感を得ることができそうです。しかし、退職金の年金受け取りによって毎年の所得が増加することで、一時金で受け取った場合よりも保険料の負担が重くなる場合がある。額面だけでみると『一時金』より『年金』のほうが増えるのですが、手取りで考えると逆転する可能性があります。公的年金の受給タイミングもそうですが、後から『もっと確認しておけばよかった』と後悔することがないように、とにかくシミュレーションして未来を可視化するのが大事ということがよくよくわかりました」(担当編集者)

「未来の可視化」こそが大切であり、それを見据えた上での、正しい投資運用への挑戦によって老後資金が大きく変わるとも言います。

「今さら遅いしもう何もできない」と言わず、「老後資金」に不安を抱く人は、まずは「何が今の自分にできることか」を見極め、相応しい策をとってみると良いでしょう。本書には、その実例とメソッドがわかりやすく紹介されています。

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