「創業家vs香港ファンド」対立のフジテック 創業家側が海外企業買収による「経済安全保障上の問題」指摘、株主提案承認に向け意欲

小森 有喜 小森 有喜

海外のアクティビスト(モノ言う株主)と創業家側で、経営権を巡る争いが続いているエレベーター大手「フジテック」。創業家出身で3月に会長職を解かれた内山高一氏が6月2日、東京都内で記者会見を開き、海外企業の買収によって情報流出などのリスクが高まると指摘した。内山氏側は今月下旬の株主総会に向け、独自の社外取締役選任などを求める株主提案をしており「経営を正常化させたい」と意欲を見せた。

フジテックを巡っては、株式の約17%を保有する香港投資ファンド「オアシス・マネジメント」が、フジテックから内山氏ら創業家に対する便宜供与があったと主張。オアシスの主導する経営側が「社外取締役が経営陣の悪質な行為を見逃した」と主張し、今年3月の取締役会で内山氏は会長を解任された。5月には内山氏の後任だった岡田隆夫社長ら生え抜きの取締役3人も解任されるなど“モノ言う株主”であるオアシス側と、内山氏ら創業家側の対立が深まっている。

「海外のところ(企業)に買収されることになると、非常に大きな経済安全保障上の問題が出てくるのではないかと思っている」と会見で語った内山氏。オアシスが短期間での株の売り抜けによる譲渡益を目的にしているとも主張した。フジテックは防衛施設や空港などを含む国内約7万台のエレベーターを管理していることから、情報流出などのリスクが高まることを懸念しているとした。また、便宜供与については「虚偽の情報だ」と改めて反論した。

株主総会に向け、内山氏側は自身が経営する会社(フジテック株式の約10%を保有)を通じ、独自の社外取締役の人事案を提示している。オアシス側が支配している現在のフジテックは「危機的状況に陥っている」とし、「脱却には株主提案の承認が必要。経営を正常化させたい」と経営の主導権奪還に強い意欲を示した。

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