2023年3月、首都圏で発売される新築マンション1戸当たりの平均価格が1億円を超えたことが話題となりました。資源価格高騰、人手不足からくる工事費の高騰などの影響で、今後も高い水準で物件価格が推移することが予想される新築マンション。比較的低予算な中古マンションをマイホームとして検討するなら、聞いておきたいのが「中古マンション選びの失敗談」です。初めて中古マンションを検討した人にありがちな「後悔ポイント」を寄せてもらいました。
大きい給湯器だな、と思っていたら
結婚するまで、一戸建ての実家暮らしをされていたAさん(関東在住、取材時40代女性)。結婚後も会社が用意してくれた借り上げ社宅が偶然一戸建てだったため、マンションで暮らした経験はなかったそうです。
夫の本社への転勤に合わせ、立地優先でマイホーム購入を検討したところ、広さと価格のバランスがとれている築30年の中古マンションが候補になりました。そのマンションに設置されていたのが「電気温水器」。ガス給湯器しか使ったことがなかったAさんは「大きい給湯器だな」としか思わなかったのですが…。
実際に入居し、生活が始まって驚いたのが「お湯切れ」です。家族4人が続けてお風呂に入ると、最後のひとりはほぼ確実に途中で水シャワーになってしまうことにびっくり!家族向けの一般的なタンク容量と説明はうけたものの、年頃の2人の娘さんたちの長いシャワータイムは賄えなかったようです。
古いマンションでよく使われている電気温水器は、夜中などの時間帯にあらかじめお湯を作って貯めておく仕組みのため、タンクの容量を使い切ってしまうとすぐにお湯は使えません。湧き増し機能付電気温水器にリフォームしても、お湯が使えるようになるまで数十分は待たなくてはならないのです。
オール電化マンションでそもそもガス配管がないためガス給湯器に変更することもできず、電気温水器の容量をもう一段階大きくするには設置場所に入らないことも判明し、お湯切れ問題は根本的解決はできないままです。
シャワーをなるべく使わず、食器洗いも水で乗り切ることでお風呂での水切れ回避に努めているAさんは「次に引っ越すなら絶対にガス給湯器のところにします!」と断言しています。
大きな駐輪場があったはずなのに
Bさん(関東在住、30代女性)は駅まで少し遠い大型分譲マンションの中古物件を購入しました。徒歩だと15分ほどかかる距離ですが、自転車を使うと便利な立地が魅力でした。駅前には無料の公共駐輪場があり、マンションまではフルフラット。途中には保育園もスーパーもありました。もちろんマンションに大きな駐輪場があることもしっかり確認していました。
ところが実際に引っ越しし、子どもを乗せられる電動自転車を購入した後「今は駐輪スペースが満車で、新しい自転車を置くことはできません」と管理組合に通告されてしまったのです。
数百戸レベルの分譲マンションで、見合った駐輪場は用意されていたはずでしたが、年月が経つとともに増え続ける自転車を収容しきれなくなり、数年前に毎年更新の受付制にかわったのだとか…。新築入居時に小さかった子どもたちも成長して高校生・大学生に。各戸複数の大人用自転車を使うようになり、想定外の数の自転車であふれかえっているのだそう。
Bさんは泣く泣く電動自転車をキャンセル。毎日15分の道のりを歩いて通勤することに。しかも保育園の送り迎えをしながらなので、小さな子どもを連れて、しかも大荷物を抱えながらの行程です。いつ駐輪場に空きが出るのかも分からず、「少々高くても駅の反対側にあった、駅チカマンションにすればよかった…」と後悔しています。
マンションの品位を保ちたいのは分かるけど
バブル期に建設された瀟洒な低層マンションを購入したCさん(関東在住、40代女性)。新築当時からの住人も多く、「住みやすいマンションですよ」と不動産屋さんに一押しされて購入を決めたマンションにお住まいです。
マンションの管理組合もしっかり運営されており、エントランスの花の手入れやゴミ捨て場の清掃なども、住民の立候補によるボランティアチームが担当しているそう。実際にありがたいと思うこともたくさんあるそうなのですが…。
困っているのが「細かい規約」が多いこと。マンションの品位を保つために、廊下をはじめ共用部分への私物は一切禁止、なんと宅配スーパーの置き配専用ボックスを廊下に出すことも却下されてしまったそうです。
思わぬライフスタイルの変更を迫られたCさん。「まさかこんなに細かい利用規約があるとは、購入時には気が付かなかった…」と肩を落としていました。
「長く住人のみなさんで自治をされている場合、管理規約が一般的な内容から追加・変更されている箇所をチェックすることをオススメします」とCさんからのアドバイスです。