映画好き若者はSNSで駄作をけなさない説「悪口を言うより残酷なのでは…」 優しさ、それとも炎上回避のためか 

中将 タカノリ 中将 タカノリ

SNS上における若者の映画批評の傾向が大きな注目を集めている。

きっかけになったのは映画ファンの映画にわかさん(@eiganiwaka)が投稿した「ツイッターで映画感想をツイートする若い人の俺体感でかなりの数が本当に映画の悪口を全然言わない。つまらなかった映画は『自分には合わなかったかな〜』とか一言だけで話を終わらせるか言及自体せず、もっぱら面白かった映画のべた褒めばかりする。思うのだが、これは悪口を言うより残酷なのでは?」という考察。

映画にわかさんはこの傾向について「悪口は少なくとも『俺はこの映画のことをこれだけの時間と知力を費やして考えていた!』って点で人情がある。それに比べたら『自分には合わなかったかな〜はい終了!』ってもう取り付く島もない」という。

たしかに近年のSNS上では他のユーザーに気を遣いすぎるせいか、映画に限らず一つの作品について批判したりけなすことは稀。しかしそれはアートやエンターテインメントに向かい合うにあたり、本当に正しい姿なのだろうか。

映画にわかさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「優先席を譲るのがめんどくさいからそもそも座らない的な、角が立つならそもそもそのエネルギーを割きたくないって気持ちが強いんじゃないかなって思います。あとネットはヤバい人とダイレクトに繋がるので、映画に限らず、炎上しない当たり障りのない事しか言わないようにどんどんなってる気がします。」
「評価が定まった作品しか見ていないということもあるんじゃないでしょうか。賛否が4:6か6:4の作品ならもっと多様な感想が出てくるんじゃないでしょうか。でも・・・娯楽として楽しむ人は賛否が9:1や8:2の作品しかみないのは普通な気もしますね。」
「悪口はその映画を好きな人に失礼かなと思って言いませんね…嫌いを共有するよりも好きを共有したほうがいい気分にもなりますし…」
「こういう相手の成長のために善意で敢えて悪口を言ってあげてるんだみたいなの、自己満足のためにそこの部分が気に入ってる人の好きの気持ちを否定して、作者の努力も踏みにじって、界隈に負のエネルギーをまき散らして通ぶってる人間が本当に有害。そういうのを厄介オタクって言うんだよ」

などさまざまな意見、考察が寄せられている。

投稿者さんに聞いた

映画にわかさんに話を聞いた。

ーー若い方たちのこの傾向に気付かれた時期は。

映画にわか:あくまでもTwitterを眺めていての印象に過ぎませんが、コロナ禍に入ってから顕著になった傾向という気がします。

ーーこの傾向の原因、この原因がもたらすことについて。

映画にわか:色々とリプライがあったのですが、中でも「(映画のネガティブな感想をツイートすることで)その映画の熱狂的なファンに絡まれるのが怖い」ですとか、「嫌いな映画の悪口を考えるのは時間の無駄」といった声が多く見受けられ、見ず知らずの他者を忌避して自分の時間を大切にする心理が背景にあるのかな、と思います。

それがもたらすことにつきましては、さまざまな社会問題に対する無関心、見ざる言わざる聞かざるの態度で問題自体をなかったことにしてしまう逃避的な傾向の加速が考えられるかなと思います。

ーー投稿の反響への感想を。

映画にわか:仲間内や映画レビューサイトでは率直な意見を言うけれどもTwitterではしない、という声も多くありました。Twitterというプラットフォームが一般化して、良く言えば多くのユーザーがツイッターを「公の場」として認識し、他者を傷つける可能性の否定できないツイートを自制するようになったのかもしれませんが、悪く言えば対話の拒絶や社会の分断とも言えるかと思います。私は色んな意見を見るのが好きですし、それがSNSの面白さだとも思っているので、楽しかったです。

◇ ◇

読者のみなさんは映画にわかさんの意見についてどう思うだろうか?

なお映画にわかさんは映画が好きな人たちが集まって映画を色んな角度から遊ぶという趣旨のMOVIE TOYBOXというウェブサイトを運営している。映画ファンであればきっと楽しめる有益な情報や考察が満載のサイトなので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

映画にわかさん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/eiganiwaka
MOVIE TOYBOX:https://movietoybox.com

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