金ロー「トイ・ストーリー」2週連続に批判の声、なぜ? 屈指の名作がSNSで波紋を呼ぶワケ

あさい あやね あさい あやね

毎週金曜日・夜9時から名画を流す『金曜ロードショー』にて、6月17日に『トイ・ストーリー3』、その翌週24日に『トイ・ストーリー4』が放送予定。これをめぐりSNSでは批判の声が集まっています。一体人気アニメーション映画になにがあったのでしょうか。

「2週連続放送が理解できない」と言われるワケ

映像制作会社『ピクサー・アニメーション・スタジオ』によるアニメーション映画『トイ・ストーリー』。日本では1996年に初作が公開され、日本語吹き替え版を唐沢寿明(ウッディ)、所ジョージ(バズ)が務めたことでも話題になりました。「東京ディズニーリゾート」(千葉県浦安市)では、2022年4月に同作をテーマにしたオフィシャルホテルがオープンするなど、今や知らない人はいない名作です。

今回、そんな同作の第3・4作目が2週連続でテレビ放送されることに。作品ファンにとっては歓喜のイベントかと思いきや、これにはSNSで「二週連続でやろうと言った人はトイ・ストーリーが好きじゃない」「観るかは自己責任」などの声が続出。なかには5万いいねを超える批判ツイートも出てきているほか、Twitterでトレンド入りも果たしました。

これらの声に共通してみられるのは、「3はいいが、4は…」という傾向。映画への感想は個人によって違うことはもちろんですが、なぜネット上ではこのような意見が蔓延っているのか。その一端は、『トイ・ストーリー3』に理由がみられます。

興行収入は約3倍に、名作『トイ・ストーリー3』

シリーズ第3作目の『トイ・ストーリー3』では、初登場時には7歳だったウッディたちの持ち主・アンディが17歳の青年に。大学の寮へと引っ越す彼と、ウッディたちオモチャ仲間とのお別れをめぐってのストーリーが繰り広げられます。

同シリーズの全世界興行収入は、初作が約3.6億ドル、第2作目が約4.9億ドル。そして『トイ・ストーリー3』では約10.6億ドルという数字を叩き出しました。レビューサイトには「序盤のホームビデオのシーンから涙が止まらなかった」などノスタルジーを覚える投稿がみられます。

アンディが7歳だった初作(1995年公開)と、そして17歳になった第3作目(2010年公開、いずれも全米公開年)。現実世界、作中どちらも時間が経過しており、自身の人生と作品を重ね、感動を覚える人も多かったようです。こうして『トイ・ストーリー3』は、多くのファンの間で「シリーズ屈指の名作」という地位を確立しました。

「前作がなければ『トイ・ストーリー4』はおもしろかった」

そこから長い時を経て、2019年に『トイ・ストーリー4』が公開。第4作目では、アンディからウッディたちを譲り受けた女の子・ボニーと、彼女がゴミ箱の材料から作ったオモチャ・フォーキーを中心に話が展開されます。

そんな同作は、シリーズ最高額である世界興行収入約10.7億ドルを記録。しかし、ネット上では「ひどい」「トラウマになった」などの声があがり、それらの意見を取り上げるブログも散見されるようになります。

さまざまな意見がありますが、その一つはボニーについて「オモチャの扱いがひどい」「アンディの気持ちを考えてほしい」などの苦言。『トイ・ストーリー4』の公開は、初作から24年が経っており、大人になった自分自身とアンディを重ねて、「まるで自分の大切にしていたオモチャがぞんざいに扱われている」ような感覚に陥るファンもいたようです。

加えて同作では、たくましく変身を遂げたウッディたちの元仲間でオモチャのボー・ピープも印象的。かつてはドレスを身につけていた彼女のギャップにも「別人みたい」との意見があり、思い出とは異なる知らないオモチャの姿に困惑する人も。

そして意見のなかでも同意を集めているのが、「『トイ・ストーリー4』はなくてよかったのでは」というもの。上記の通り、『トイ・ストーリー3』はシリーズ随一の人気作として知られており、期待を高めた一部ファンの間での落胆が今回の騒動の一番の要因と考えられます。これについては「『3』がなければ『4』はめちゃくちゃおもしろかったのに…」と悲しむ声もあがっていました。

予想外の「結末」をどう受け入れるか

批判とは別に、『トイ・ストーリー4』が物議を醸す原因となっているのは、その「結末」。かつての仲間たち、新しい仲間、かつての仲間に囲まれたウッディは、ラストに「どう生きるか」の決断を迫られます。ここでのウッディの判断が、人によっては「トラウマ」になり、また別の人には「励まし」になったと話題を呼びました。

とはいえ、映画は観る時の心理状況によって感想が変わるもの。SNSでは、「トイストーリー1・2を子供の時から繰り返し観て、大人になって公開された3を観て号泣した人間と、そうでない人間とでは4の見方が一切違う」と意見している人もいます。

実際、大手映画レビューサイト『Filmarks』で『トイ・ストーリー4』は、星3.8の高評価を獲得するほど。これまでにも数々の名作を生み出してきた『ピクサー・アニメーション・スタジオ』が同作で何を伝えたかったのか、SNSでの話題を念頭に置いて新たな視点で観るのも楽しみの一つかもしれません。『トイ・ストーリー3』は6月17日・夜9時から、『トイ・ストーリー4』は24日・夜9時から放送予定。

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