つらいPMS 月経前に鬱っぽくなり大学を休みがちだった21歳女性 低用量ピルで驚くほど症状が改善した

ドクター備忘録

川口 惠子 川口 惠子

月経のある女性の70~80%は、月経前になるとイライラ、頭痛や下腹痛で体調が悪くなると言われています。仕事や学業に支障がでるほど症状が重いと、さらに大問題です。

製薬会社が学校や職場で行ったアンケート調査でも、学業や仕事に影響を与えるものとして、月経前症候群(PMS)は月経痛と並んで上位を占めています。症状は月経の10日~3日前に生じ、月経が始まると次第に改善していきます。最も多い訴えはイライラ、怒りっぽくなる、気分が沈むなどの精神症状です。そして頭痛、下腹痛、肌荒れ、乳房痛、むくみなど様々な身体症状を伴います。症状が強いと学業や仕事の能率が下がり、ひどい場合は学校や職場を休まなければなりません。

なぜPMSが起こるのかは実はまだよく分かっていません。月経のある女性は1カ月に一度排卵しており、それに合わせて体の中でホルモンのレベルが目まぐるしく変化しています。排卵後分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)がPMSに関係していることは確かなのですが、PMSのひどい人とPMSのない人の間でプロゲステロンのレベルに差はないのです。おそらくプロゲステロンの変動にとても敏感に反応する人と少々の変化では何も感じない人の差なのでしょう。そしてPMSはストレスで悪化することも分かっています。また肥満の人、喫煙者、飲酒を良くする人に多いともいわれています。

PMSの治療はまずライフスタイルの改善です。ストレスを溜めないように上手く気分転換する、月経前に楽しいことをする、運動をする、バランスのとれた食事を心がける、体重が多ければダイエットをする、禁煙、減酒などです。それでも効果不充分な場合は薬の出番となります。ホルモン剤、漢方薬、軽い抗うつ剤などが使用されます。

20代・30代は低用量ピルを選択する人が多いようです。ピルを服用すると排卵しないのでホルモンレベルの変動が少なくなり、PMSが軽減されるのです。

Sさんは21歳の大学生です。大学生になってから月経前1週間くらいになると鬱っぽくなり、体が重く大学を休みがちになります。月経痛もあるけれどPMSの方がつらいそうです。漢方薬、抗うつ剤なども考えられましたが、彼女は低用量ピルを選択しました。服用し始めて1カ月は軽い吐き気や不正出血があり彼女は不安を感じていましたが服用を続けました。

次の月経が来た時Sさんはびっくりしました。今までのような気分や体調の変化がなく月経が始まったからです。その後時々PMSはあるもののずっと軽いので大学も休まなくてよくなりました。

大事な試験や試合の時PMSや月経を避ける方法

最も頭の働きが良く、体も軽いのは月経終了後から次の排卵までです。大切な試験や試合、発表会などにはベストな状態で臨みたいものです。

Mさんは大切な資格試験を目指して頑張っています。しかし彼女は月経前になると強烈な眠気に襲われ極端に能率が落ちてしまうのです。試験の日が月経と重なり直前の勉強時期がPMSで悩む時期であることが分かりました。私は彼女に月経を早める事を提案しました。月経を早めるには直前の月経の5~6日目から10日間ほどホルモン剤を服用します。服用終了後3~4日で月経のような出血が来ます。これで試験日にはまだ排卵がおきていないベストの状態で臨むことができます。彼女はもちろん試験に合格しました。 

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