「『産後のガルガル期』のときの“これぐらいはいいやろう”という周囲の気持ちほど泣けるものはない。私より1年あとに出産した義姉(兄の奥さん)に対して、絶対にイヤな思いをしてほしくなかったので“会いたいと誘われるまで待つ”“ずっと抱っこしない”“勝手に食べさせない”等は私の親にも共有した」
出産後の女性は、些細なことでイライラしたり、今までは気にならなかったことが気になったりする傾向にあります。これはホルモンの変動で母性本能が高まるから。動物が子どもを守るためにガルガルと威嚇する様子を思わせることから、最近はSNS上で『ガルガル期』と呼ばれています。
講談社「FRaU WEB」(講談社)で『毎週うつ子ちゃん』を連載するひみつのうつ子ちゃんさん(@utuko_chan 以下うつ子ちゃん)も『ガルガル期』を経験。「ガルガル期は本人ではコントロールできない面もあります。周囲の人にも知ってほしいし、理解が深まれば良いなと思います」と話すうつ子ちゃんに、取材しました。
感情をコントロールできない産後
義姉の出産の際に気をつけたことをTwitterに投稿したうつ子ちゃんのもとには、
「わかりすぎていいね100押したいです!笑 夫の“これぐらいええやん』に噛みつきまくってます」
「これ、1番やらかすのは夫側の親族」
「友達が新生児のほっぺ、消毒もせず 勝手に触ってきた時ぶん殴りたくなりました」
「アレルギーとか心配してたし、ご飯優先させたいし、いろいろ考えてるこっちの気持ち全無視されると会う気なくしますよね」
と『ガルガル期』の経験を告げるリプライが集まりました。
「これで、こじれた、友人と、お嫁さん」と揉めた夫婦がいるという声がある一方、「娘の子育てをリスペクトして、何か聞かれた時には“こんな時はこうしたこともあった”くらいに返事してます。恐ろしく膨大な情報量の今、保育士さんや保健師さんに教わりながらが良いのかなと思って見守ってます」と産後の母子への寄り添いを実践する人の声もありました。
「産後の『ガルガル期』の女性がいる場所で、女性や子どもに対して“これぐらいはしてもいいだろう”と思って、何か行動を起こしたり、言ったりするのはNG。たとえ善意によるものでも、周囲の気持ちや振る舞いを否定的に受け止めてしまいがち」と投稿で訴えたうつ子ちゃんは、「“産後に義家族とうまくいってない”というツイートを見かけ、自身の産後のことを思い出しました」とツイートしたきっかけを明かします。
自身も産後、義母や自分の親に対して、ものすごくイヤな気持ちを抱いたことがあり、特に、義母に対しては善意の言動にさえ負の感情が芽生えてしまったそう。「“私が赤ちゃん抱っこしておくからあんたはごはん食べや”と気づかってくれても “赤ちゃんを自分や夫以外に抱っこしてほしくない”と心がざわついたこと、今でも鮮明に覚えています」。
数年たった今、振り返ってみると、「あれは完全にホルモンバランスの関係だったんだと冷静に判断できますが、当時はそんなことは微塵も思いませんでした。しかも、イヤだったという感情だけは『ガルガル期』が終わってもしっかり心に残ってしまう」と話します。
それゆえ、義理の姉の出産が近づくと、周囲の人に心遣いを共有。両親も「もちろんそのつもりだよ、嫌がるようなことは絶対しないよ」との反応でした。
「産後はお義姉さんの方から連絡ない限り、こちらからの連絡は控えていました。でも産後1年ほどしてから一緒におでかけしようと、頻繁に連絡がくるようになったので、いろいろと落ち着いてきたんだな…と。私も前向きな気持ちになりだした時期はちょうど産後1年過ぎた頃でしたね」。お互いに子どもを持ったことで、以前より一緒に遊ぶことが多くなったとうつ子ちゃん。「子ども同士もお互い好きみたいで、会うこと楽しみにしているのが一番大きいかもしれません」と話します。
「『ガルガル期』の真っ只中にいると、ガルガル期だから仕方ないんだ、という発想になりにくいんです。それが1番つらい。私の場合、どうしてこんなにイライラするのかわからないし、イライラしている自分に腹が立つ、そしてさらにイライラして…と悪循環に陥りがちでした。だから、『ガルガル期』の女性の周りにいる家族や友人の方たちが理解することがこの時期は大切なのかなと思っています」とうつ子ちゃん。
産後の女性にも「“今はイライラしてあたりまえ、大丈夫大丈夫”と自分に言ってあげて」とあたたかい言葉を贈ります。「でも、コレがほんとに難しいこと。自分では気づかないんですよ」とも。となると、やはり、周囲の人が『ガルガル期』を理解して、寄り添いながらサポートしていくのが大切。出産を控える女性や産後間もない女性が周囲にいる人たちは、ぜひ実践を!
■ひみつのうつ子ちゃんさん @utuko_chan