ブーム続く「カヌレ」、どんなお菓子?ケーキのように豪華なトッピング、小ぶり&あっさりで食べやすく…近年の特徴や専門店のこだわりを紹介!

宍道 香穂 宍道 香穂

 フランス発祥の焼き菓子「カヌレ」がブームになっている。山陰両県にも専門店が相次いでオープンし、「カヌレ」好きでにぎわっている。地元の食材を使って特徴を出している山陰の専門店を紹介する。(宍道香穂)

 カヌレはフランス・ボルドー地方発祥とされる焼き菓子。小麦粉や牛乳、バター、ラム酒などを混ぜた生地を専用の型に入れて焼き上げる。

 側面に溝が付き、外側がカリカリ、内側がモチモチと2種類の食感を楽しめるのが特徴。近年は生地にチョコや抹茶、紅茶などの風味を付けたものや、上にフルーツやナッツ、クリームなどをトッピングした華やかな見た目のカヌレも登場し、プレゼントとしても人気がある。

 店によって作り方は異なるが、一般的には高温で10~20分ほど焼き上げてから温度を下げ、さらに1時間ほど焼く。おいしいカヌレを作るためには生地を12~24時間寝かせてグルテンを落ち着かせ、焼く前には常温に戻す必要がある。自分で作ろうとするとかなり手間がかかるため、専門店がにぎわっているのかもしれない。

▽小ぶりで食べやすく

 境港市の「水木しげるロード」にある専門店、境港カヌレ(境港市松ヶ枝町)は地元産食材を使った、小ぶりで食べやすいカヌレが並ぶ。

 8種の色とりどりのカヌレがかわいらしく並び、定番のプレーンをはじめ、ラムレーズン、アールグレイ、ショコラ、抹茶あんこ、黒糖くるみのほか、旬の果物などを使った「季節のカヌレ」を用意する。各160円。

 定番のアールグレイ味を食べてみた。生地に混ぜ込まれた紅茶の香りや、ふんわりと優しい甘さが口に広がった。カヌレは一口サイズで、生地にもったりした感じや甘ったるさがないため食べやすいと感じた。

 人気はシンプルな味わいが楽しめるプレーン味。カヌレの原料は地元にある大山乳業の牛乳や、北海道産の小麦やバターを使用している。保存料など添加物を使用していないため、小さな子どもにも安心して食べさせやすいという。

 直径、高さ各3・5センチと標準サイズより小ぶりで食べやすい。一般的なカヌレは直径と高さが約5センチのものが多く、一つ食べるとおなかにたまりやすい印象があるが、境港カヌレは小ぶりでパクパクと食べられる。砂糖の量を一般的なレシピの半分~3分の1に抑えているため、甘ったるさを感じず、一度にさまざまな味のカヌレを食べ比べることができそう。

 2021年4月にオープンし、主に地元の人や若者が足を運ぶ。商品が気に入り、繰り返し足を運ぶ客も多いという。
 午前11時半~午後5時営業。火、水曜定休。

▽豪華なトッピングが魅力

 出雲市天神町のカヌレ専門店「ちょっこす」は2021年7月にオープンした。
 カヌレの上にリンゴやオレンジ、ナッツなどをトッピングした華やかな見た目が特徴。定番のプレーン、アールグレイナッツ、コーヒーといったカヌレのほか、季節の果物をトッピングした限定メニューも用意し、10種を店頭に並べて350~500円で販売している。

 サイズはフランスの伝統的なサイズの直径5センチ、高さ5センチ。ずっしりと食べ応えがあるように見えるが、生地に米粉を使っているため、あっさりとした味わいで食べやすい。
 米粉は減農薬、減化学肥料で栽培した大田市三瓶町産の米で作った米粉を使用する。きめが細かく内側が、よりもちっとしたカヌレに仕上がるという。生のフルーツをトッピングしたカヌレは、フルーツとの相性が良くなるよう、生地の内側を少し軟らかい「半生」の食感に仕上げている。卵は大田市産の「ネッカエッグ」を使い、生地にコクや深みを出している。牛乳は出雲市高松町産の生乳を、仕込み日の朝、仕入れている。

 季節限定のイチゴのカヌレを食べてみた。真っ赤なイチゴと白いクリームが乗ったカヌレは華やかで、眺めているだけでワクワクしてくる。イチゴはカヌレの上だけでなく内側にも入っていて、ショートケーキを食べているかのような満足感があった。生地はあっさりとした味わいで内側はもっちりとした、なめらかな食感。カリっと焼き上げた外側との食感の違いを、より楽しめた。

 人気はレモンやリンゴ、オレンジといったフルーツのカヌレ。チョコレートの濃厚な味わいが楽しめる「ショコラ」も人気がある。取材当日、季節メニューとして販売していたイチゴのカヌレもよく売れたという。夏はシャインマスカットやブルーベリーのカヌレの販売を検討している。

 コーヒーのカヌレは出雲市大社町杵築南のコーヒー専門店「大社珈琲」が「ちょっこす」のカヌレ用に焙煎(ばいせん)したオリジナルのコーヒーを生地に使っている。出雲市特産の「西浜いも」や多伎町産のイチジク、松江産の抹茶といった地元産食材を多く使い、カヌレを通して地元産品の魅力を広く発信している。

 20~40代を中心に年配の客も足を運んでいるという。流行しているスイーツの店は若い女性客が多いイメージだが、恩村恵美子マネジャーは「意外と男性のお客様が多い」と話した。恩村さんは「女性へのプレゼントに何を贈るか悩む人が多く、喜ばれる贈り物としてカヌレが選ばれているのでは」と推測した。取材当日はホワイトデーが近かったためか、客の7~8割程度が男性客だったという。
 日、月、祝日定休。火~金曜は正午から午後5時半まで、土曜は午後1時~午後5時営業。

 カヌレはもともとシンプルな見た目の焼き菓子だが、近年は各店がいろいろ工夫した華やかなものが多くなった。自分で楽しむのはもちろん、お土産やプレゼントにも向いていると思った。山陰両県の専門店では、フルーツを中心にさまざまな地元産の食材を取り入れたカヌレをそろえていて、おいしいし、見た目もいい。新しい特産品になりそうだと感じた。

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