公共トイレの「シャワー機能」…感染リスクは大丈夫? 医師に聞いた→「統計的にない」「携帯持ち込みの方が危ない」

山脇 未菜美 山脇 未菜美

 ショッピングモールや駅構内、街中…。屋外の公共トイレの多くに温水洗浄便座が設置されているが、あることで迷ったことはないだろうか。排泄物をノズルから出る温水で洗い流す「シャワー機能」を使うかどうか、だ。誰が使ったか分からないけれど、細菌感染は大丈夫なの? 大阪府済生会中津病院の清益功浩医師(56)に、感染リスクやシャワー機能の正しい使い方などを聞いた。

―自宅外でトイレのシャワー機能を使う場合、細菌感染が心配です。リスクは考えられますか。

「統計的に、シャワー機能の共有で感染したというデータはありません。クラスター(集団感染)が起きたという話も聞いたことがありません。細菌性胃腸炎など、菌を触った手で便器やドアノブを触れてしまい、口から経口感染する可能性はあります。シャワー機能の場合、正しくメンテナンスしていれば、感染の恐れはほとんどありません」

―シャワー機能は肛門に当てるものなので、汚いイメージが拭えません。

「誰が使ったか分からないという点で、心配になる気持ちは分かります。ただ、肛門から菌が入って、腸内で繁殖するということは難しい。便には、大腸菌も含めてたくさんの腸内細菌がたくさん含まれています。衛生的なものではありませんが、便は中から外に出るものです。別の菌が外から中に入るのは、理論的に考えづらいです」

―シャワー機能の使い過ぎでお尻に負担が掛かることはありますか。

「水圧が強過ぎて、本来必要な皮脂まで洗い流してしまってバリア機能が低下し、皮膚を傷めることはあります。そうすると、かぶれや炎症の症状が起きることはあります。また、皮膚にも細菌がいて、バランスよく共存しています。完全に洗い流したい、清潔でいたいという行き過ぎた清潔感は、細菌のバランスを崩してしまい、症状が出ることもあります」

――自宅外でトイレを使う時に気を付けるべきことを教えてください。

「シャワー機能は5~10秒くらいで洗い流して、トイレットペーパーでさっと拭くのがいいでしょう。一方で、トイレ内で携帯を触るのは感染のリスクは高いです。また、見落としがちなのが、入口を開閉するドア。誰が触ったか分かりませんので、気を付けましょう」

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