【祝】3年連続、数カ月しか生きられなかった…アシカの赤ちゃん2頭がもうすぐ1歳 「ようやくここまで…!」神戸の動物園、成長にひと安心

茶良野 くま子 茶良野 くま子

豪快なジャンプとどこかユーモラスな鳴き声で、動物園・水族館の人気者、アシカ。神戸の動物園でも昨年生まれた2頭がもうすぐ1歳に。見守る来園者からは「無事に育って良かった」「ようやくここまで…」と安堵の声が。これまで誕生した赤ちゃんが3年連続、感染症などのため生後数カ月しか生きられなかったからです。

神戸市立王子動物園のカリフォルニアアシカ。2022年6月、コナツ(12歳)とスミレ(9歳)がそれぞれメスの赤ちゃんを出産。父親はカイト(11歳)です。そして同園は今春、飼育員による講演会を開催。母親それぞれの子育てぶり、赤ちゃんに起きた異変と対応、さまざまなトレーニングについて飼育員の藤井恵さんが話しました。

コナツは初めての子育て。スミレは4回目です。誕生後、無事に授乳が確認された2頭の赤ちゃんですが、間もなくスミレの赤ちゃんに異変が起きました。

「誕生数日後から体の震えが見られ、体温は正常でしたが、スミレ親子だけ浅瀬に隔離して様子を見ました。しかし、かえって母親のストレスが強くなったため、中断。赤ちゃんの体重測定をして授乳が確認できない時にはミルクを与えました。採血で『低ナトリウム血症』という病気が分かり、母親のスミレのエサに塩や薬を入れたことで、改善されました」

初の子育てとなったコナツは、赤ちゃんが自分から離れるのを嫌がる様子があったそう。藤井さんは「過保護すぎて赤ちゃんの運動神経がちょっと悪いみたい」というエピソードも披露していました。

生後半年ごろからエサの魚を食べるため離乳トレーニングを開始。母親と離れ、別の非公開の展示場へ。「金魚を使って興味を持たせ、咥える、飲み込む、食べる、という動作を覚えてもらいました」

魚を安定して食べられるようになり、今年3月に再び親たちと合流することができました。

また、健康管理のための「ハズバンダリートレーニング」についても紹介しました。

「動物と適度な距離を保ちながら信頼関係を築け、コミュニケーションを図ることができます。体調の変化、アシカ同士の関係性もよく分かりますし、毎日の生活にトレーニングを入れることで良い刺激になっています」

「父親のカイトは視力が弱いのですが、台に乗るトレーニングがうまくいったことで体重が測れるようになり、ダイエットに取り組むこともできました」

 

アシカプールでは今、家族そろって泳いだり、エサの時間に大騒ぎしたりする様子や、トレーニングを見ることができるので大人気です。

赤ちゃんの愛称は、コナツの赤ちゃんは「ココナッツ」、スミレの赤ちゃんは「ニコ」に決まりました。

「ココナッツは顔が丸く目が大きくて人懐っこい性格。ニコはスリムで目が小さめ、運動神経がよく少し臆病な性格です」と話す藤井さん。他園でイルカトレーナーとして活躍し、海獣類の飼育経験も豊富です。飼育担当みんなでチームワークを大切に飼育に取り組んでいます。

「トレーニングを通して、アシカたちと一緒にいろんなことにチャレンジしていきたいです。これからも成長していくアシカたちに是非会いに来てください」

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