「賃上げを予定していない」企業は約半数 賃上げができない理由は…「業績が伴わない」が最多に

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

国内の物価が上昇を続ける中、企業の賃上げが注目を集めていますが、実際に賃上げはされているのでしょうか。全国の従業員数10人以上の企業に勤務する20~50代の男女300人(会社員150人/会社経営者・役員150人)に「賃上げ」に関する調査をしたところ、「賃上げを予定していない」と答えた企業は約半数に上ることが分かりました。また、賃上げできない理由については、「業績が伴わないから」という回答が約6割とダントツだったそうです。

経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学が、2023年2月にインターネットで実施した調査です。

まず、「2022年1月から2023年2月にかけての賃上げの予定」について聞いたところ、「すでに賃上げされた」企業は21.3%、「今後賃上げされる予定」の企業は29.0%となり、これらを合わせると50.3%の企業で賃上げされることが判明。

また、「賃上げする理由」については、「社員の士気を上げたいから」(74.4%)が7割を超え、次いで「物価が高騰しているから」(48.8%)、「業績が上がったから」(23.3%)、「政府の呼びかけがあったから」(14.0%)と続きました。

一方、「賃上げを予定していない」企業は49.7%。「賃上げを予定していない」と回答した経営者・役員の64人に対して「政府からの賃上げ呼びかけもある中で、できることなら賃上げをしたいと思いますか」と聞いたところ、56.3%の人が「賃上げしたい」と回答した反面、43.8%が「賃上げしたくない」と回答しています。

また、「賃上げできない理由」としては、「業績が伴わないから」(60.9%)が2位の「従業員が賃上げできるほどの業務をしていないから」(21.9%)以下を大きく引き離して最多となったほか、「特に理由はない」(23.4%)という回答もみられました。

なお、「賃上げできない代わりの策」については、57.8%が「代わりの策は特に考えていない」と回答。その一方で、「一時金の支給」(26.6%)、「給与制度の見直し」(12.5%)など、少しでも社員に還元したいと考える経営者・役員がいることがうかがえます。

次に、賃上げを予定していない企業の会社員(85人)に「賃上げしてほしいと思いますか」と聞いたところ、80.0%の人が「賃上げしてほしい」と回答。

また、賃上げされないことについて「不安に思う」(とても不安に思う48.2%・やや不安に思う35.3%)と答えた人は83.5%に上り、「何もかもが値上がりして負担が大きい」(46歳男性)、「物価が上昇しているのに賃上げされないと生活の質が低下していく」(35歳女性)、「物価上昇が続き、生活費の負担が大きいのに、残業代も出ない状況で、やりきれない」(46歳女性)といった声が寄せられています。

では、一体何に物価上昇を感じ、困っているのでしょうか。この質問に関して最も多かったのは「食材費」(74.3%)でした。次いで「光熱費」(68.0%)、「日用品費」(51.3%)と続き、その中でも、「最も物価上昇を感じるもの、困っていること」は「光熱費」が39.0%という結果になりました。

また、「賃上げは予定されていない」と回答した85人に「切り詰めたいと思う(すでに切り詰めている)もの」を教えてもらったところ、「食費」(55.3%)が最も多く、次いで「外食費」(42.4%)、「交際費」(40.0%)、「趣味・娯楽費」(38.8%)と続きました。

続いて、「評価制度が定められていた方が、より賃上げしやすい環境になると思いますか」と聞いたところ、73.3%人が「思う」(そう思う24.0%・まあそう思う49.3%)と回答。また、「あなたがお勤めの企業における評価の基準は明確だと思いますか」と聞いたところ、48.0%の人が「明確だと思う」(明確だと思う15.7%・やや明確だと思う32.3%)と回答しています。

ただ、「明確だと思う(計)」と回答した割合を役職別にみると、会社経営者・役員は57.3%と約6割近くが回答しているのに対して、会社員は38.7%と18.6ptも差があることが明らかになりました。また、「評価制度が定められていない」と回答したのは全体で14.0%で、86.0%の企業で評価制度が定められていることも分かりました。

さらに、「評価結果と給与の連動」についても聞いたところ、経営者・役員の64.8%が「連動している」と回答した一方、会社員は44.6%と20.2ptの差があり、経営者・役員と会社員の間で大きくとらえ方に違いがみられたといいます。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース