リスキリングで「昇給につながった」人はわずか1割…期待と現実のギャップが浮き彫りに

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

リスキリングで昇給を実感している社員はわずか11.2%―。株式会社マイナビ(東京都千代田区)が、全国の20~50代の正社員の男女800人を対象として調査した、2023年1月にインターネットで実施した「正社員のリスキリング実態調査(2023年)~リスキリングで賃金は上がるのか~」で、そんな結果が分かりました。期待と現実の大きなギャップを埋めるために、企業にはどのような取り組みが求められるのでしょうか。

調査の結果、79.6%の人が「リスキリングは必要だと思う(「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計)」と回答。これを年代別でみると、「30代」(83.5%)が最も高く、次いで「20代」(82.0%)、「40代」(77.5%)、「50代」(75.5%)と続きました。

また、「リスキリングに期待すること」については、「仕事・働き方の幅を広げること」(40.1%)、「学んだ知識をいまの仕事・業務に役立てること」(35.9%)、「昇給」(29.6%)といった回答が上位に挙げられています。

続いて、「リスキリングの経験」について聞いたところ、44.8%の人が「経験あり」と回答。

また、リスキリング経験者606人に「リスキリングをしたいと思ったきっかけ」を教えてもらったところ、「自分のためになると思ったから」(57.6%)、「仕事で知識不足・スキル不足を感じた」(37.0%)、「賃金アップにつながると知ったから」(26.7%)などが挙げられました。これを性・年代別にみると、「賃金アップ」の回答は20代女性では39.2%と4割近くに達し、賃金増への切実さを感じる結果となりました。

では、リスキリング後に実際に昇給した人はどのくらいいるのでしょうか。リスキリング経験者(358人)に「リスキリング後の変化」を教えてもらったところ、「資格の取得ができた」(26.8%)が最多であった一方で、「昇給」(11.2%)、「昇進・昇格」(6.4%)など、目に見える形や個人の評価につながっているケースは少数に留まり、リスキリングへの期待と現実のギャップがうかがえました。

同社は、「今後、企業が昇給昇格などについてどのように評価するのか、積極的に情報開示していくことが不可欠といえるでしょう」とコメントしています。

他方、「現在リスキリングをしていない」と答えた635人に、「現在リスキリングをしていない理由」を教えてもらったところ、「時間がない/忙しい」(39.1%)、「何から始めればいいか分からない」(20.6%)、「勉強にお金をかける余裕がない」(19.8%)といった回答が挙げられ、働きながら時間を確保することの難しさや、金銭的な負担が浮き彫りになりました。

同社は、「企業は、リスキリング経験者の事例や仕事・領域ごとに『新しいスキルを身に付けることで、どのようにキャリアを広げていけるのか』ということを、社員にガイドすることが有用だと思います」と指摘しています。

最後に、全回答者に対して、「月収がいくら上がればリスキリングをしたいと思いますか」と聞いたところ、中央値は「1万円」。次いで、「5000円」、「5万円」と大幅な増額を期待する声は少ない結果となりました。

同社は、「今後は、社員一人一人の挑戦を後押し、評価する環境を整え、身に付けたスキルを発揮できる機会・環境を提供し、好循環を促すことが企業経営に求められるようになると考えられます」と述べています。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース