ケーキ店、菓子メーカー、料理研究家らが次々と、今流行のクッキー商品を強化中の昨今。そんななかトレンドに敏感な関西の百貨店「阪急うめだ本店」(大阪市北区)の地階の洋菓子売場でも「クッキー推し」が進んでいる。今春に登場する新作を取材した。
クラシカルなクッキー缶が人気の「カフェタナカ」が2022年9月に関西初出店したほか、四季に合わせて商品が変わる洋菓子ブランド「HIBIKA(ひびか)」のクッキー缶(ふきよせシリーズ)、「売り切れ」札を頻繁に見かけるフランス産発酵バター「エシレ」のサブレやガレットなど、クッキーや焼き菓子好きに注目されている同店。
宣伝広報担当の米田進悟さんは「クッキーは、他のスイーツの一過性のブームとは異なり、どんどん定着していく印象ですね。元々、日持ちしてお土産にもしやすいので根強い人気があり、年々増える当店の限定商品もお店やメーカーさん側からご提案いただく事が多いです」と話す。その結果、どんどんと目玉となる商品が増えているのだ。
今回は、新名物となりそうなクッキーやサブレなど(※定義については下記参照)春の新作を紹介する。
「カフェタナカ」丸缶に、初の花型クッキー
シェフパティシエの田中千尋さんが国内外から吟味した素材のみを使い、全国にもファンが多い「カフェタナカ」(本社:名古屋市北区)。大量生産ではできない手作業で生み出される、味わい深さも含めて魅力だ。
同店限定の黄色缶「ビジュー・ド・ビスキュイ プティジョーヌ缶」や定番商品目当てに、連日にぎわいを見せ、オープンから半年たった現在も行列が続いている。
見た目のかわいらしさも重要であるクッキーとあって、5月に登場予定の新作「レーヴ・ド・フルール」(3888円)は、花型がポイント。重なった2枚の生地それぞれのフレーバーが楽しめ、食感の違いも出すために異なる小麦粉を使用するほど、手が込んだものだ。
例えば「ノワール&フリュイルージュ」は二層になっており、上段は西アフリカの自社農園のカカオを使ったチョコレートと国産小麦、下段はコーヒーとフランス小麦という組み合わせにこだわりが。白地にゴールドの文字とロゴが際立ち、同店初の丸缶というのも、缶好きが反応しそうなデザインとなっている。
英国流セットは、ピクニック風?
英国で約130年前に誕生した乳業メーカーが手がけ、クロテッドクリームやスコーンでおなじみの「ロダス」からも、新作の焼き菓子セット「バラエティー ベイクド トゥリーツ」(2700円)が、3月8日から発売スタート。
レモンの爽やかさを加えた「レモンショートブレッド」、スコーン生地をビスケットの焼き方で焼成した「ロックスコーン」、チョコとプレーン2種の「クロテッドクリームビスケット」と、看板商品を進化させたものばかりだ。
担当者は「焼き菓子は贈答用に日持ちするものを希望されるお客さまに人気で、新たな焼き菓子のセットを作りました。本場のアフタヌーンティー文化を定着させるコンセプトなので、持ち手のある缶のハンパーケースは英国のピクニックをイメージしています」とビジュアルへのこだわりも。発売期間は4月26日まで(予定)、5月15日から内容を変えて再び登場する。
「カルピス発酵バター」からサブレが誕生
「カルピス」ブランド初の常設店「発酵『CALPIS』PARLOR」では、これまで飲むスイーツ缶「『カルピス』ゼリー」と限定ドリンクを展開。そんななか、意外な新作として3月7日から登場したのが「発酵バターサブレ」(6枚・1350円)だ。
3月1日から先行販売したところ、連日売り切れるほど好評に。実際に一般発売されてからも連日入手困難に。ただカルピスというとドリンクのイメージが強いだけに、なぜサブレなのか…?
メーカー担当者は「夏のイメージがあるドリンクやゼリー以外に、もっと年中『発酵』を味わえるものがないかと。これまで業務用に提供してきた「カルピス発酵バター」は、乳酸菌由来の爽やかなコクが魅力で、通常のバターより香りがとびにくい特徴があります。このバターの風味を最大限にいかせるものとして、サブレが誕生しました」と、通年楽しめる商品としてたどり着いたのがサブレだったのだ。
百貨店のクッキー人気は「ブーム」で終わらない?!
今や関西でもクッキーをテーマとした催事も増えてきたが、いち早く企画した同店による『クッキーの魅力』は3月13日まで開催中。今年で6回目を迎え、初回と比べると、缶だけでなく、クッキーそのもののデザインも重視され、素材も多様化しているとのこと。
「レストランや料理店で作られたクッキーも登場しているので、パティシエ以外の料理人や他分野の方のクッキーも増えたら興味深いですね」と、広報担当者の米田さんは、さらなる進化に期待を寄せる。関西では同店でしか購入できない商品が多いだけに、手土産用・自分用としてもますます重宝されそうだ。
〈クッキーの定義〉「全国ビスケット協会」によれば、クッキーの定義は「糖分と脂肪分の合計が全体の40%以上のもの」などいくつかの条件が。アメリカから伝わったクッキーに対して、フランスから伝わったサブレはバターと薄力粉の割合が等しいものが多く、さっくりした食感や油脂の風味をいかす傾向に(引用:「阪急阪神オンラインストア」おいしい読み物)。そして、砂糖・小麦粉・バター(時折塩)で、卵なしで作るのが英国のショートブレッドだ。厳密にいうとクッキーとは異なるが、催事などでは、バリエーションの一種として展開されている。
■「阪急うめだ本店」公式サイト https://www.hankyu-dept.co.jp/honten/
■「カフェタナカ」公式サイト https://www.cafe-tanaka.co.jp/
■「ロダス」公式サイト http://www.roddas.jp/
■「発酵『CALPIS』PARLOR」公式サイト https://www.calpis.info/hakko-parlor/